ベートーヴェンをテーマに開催された大型連休のクラシックフェス「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」(以下LFJ)の振り返りを続けます。今回は聴いた公演の感想を。公演情報は公式サイトの公演番号で照合して確認いただければと(手抜き)。
◆公演122 現代に生きるベートーヴェン・ア・ラ・カルト
これはピアニスト大集合の公演で、面白そうなので取りました。2台ピアノ・8手(つまり連弾×2)のベートーヴェン交響曲ダイジェストはピアノの音域の広さを生かした編曲。解説によると、ベートーヴェン存命当時のコンサートでは、会場の広さやオケの調達の難しさからそのような演奏がしばしばあったとのことで、なるほどと。極めつけは最後に演奏されたトルコ行進曲。福間洸太朗さんの新編曲による3台12手の大編成!しかも広瀬悦子さんやレミ・ジュニエさんがパーカッションを担当したりするというレアな光景も。楽しいプログラムでした。
◆公演123 ハバナのベートーヴェン
これは面白い公演でした。ベートーヴェンはじめクラシックの大作曲家がもしキューバに行ったらどうなる?がテーマ。クラシックの名曲がカリビアンなミュージックに大変身。客席も盛り上がりました。
◆公演212 シエナのエクストリーム・ベートーヴェン
えー、2019年のLFJで私が共演したシエナです(笑)。これも楽しい公演でした。吹奏楽でベートーヴェンをエクストリームにカバー。宮川彬良さんの名作「シンフォニック・マンボNo5」もウケてました。最後に演奏した「ティコティコ」はベートーヴェンとは関係ないけど、客席参加型として選ばれたのでしょう。国籍不明のラテンな人(笑)のリードで手拍子をして盛り上がりました。
◆公演224 ルネ・マルタンのル・ク・ド・クール
本フェスのアーティスティックディレクターであるルネ氏おすすめアーティストを揃えたガラ・コンサート。3組登場しましたがみなさん良かったです。聴きたかった「月光」もここで聴けました。最後に登場したエリプソス四重奏団はサックスでベートーヴェンという意外性で盛り上がりました。
◆公演215 ミチヨシはかくベートーヴェン「運命」の扉を叩く
交響曲第5番です。新日本フィルを井上道義さんがエネルギッシュに振りましたが、ものすごい迫力。圧巻という言葉しか出ません。演奏が終わって万雷の拍手に、スタオベもちらほら。客電がついても拍手が鳴りやまず、最後はルネ氏を引っ張ってきてカーテンコールを締め。これは聴けて本当に良かったと思いました。ツイッターで感想を拾ってみるとやっぱりこの時の演奏は良かったという声ばかり。ちなみに演奏前にはLFJアーティストで和太鼓奏者の林英哲さんと井上さんが第5番について語るコーナーがあったのですが、井上さんの解釈に林さんがついていけず微妙にかみ合わない様子がおかしかったです。内容は公にすると差し障るのでナイショ(笑)
◆公演335 ベートーヴェン名作交響曲たちのリズム~多国籍打楽器アンサンブルの饗宴
これは私が聴いた公演の中で最も難解でした。打楽器でベートーヴェンということなのですが、どう聴いてもサンバパレードのリズム隊の音にしか聞こえず(笑)。演奏が終わって「ベートーヴェン交響曲第5番の変奏曲でした」とあいさつがありましたが、まったくわからず客席も爆笑。でも終始ノリノリで盛り上がりました。こういうのもLFJだなあと。
◆公演315 「人類はみな兄弟に・・」ベートーヴェンは熱く平和を歌う
第九です。神奈川フィルをリオ・クオクマンさんが振りましたが、華やかさと迫力でファイナルコンサートにふさわしい演奏でした。実は第九を生オケで全編聴くのは初めてでしたが、感動しました。演奏が終わると5000人のホールAが揺れるかのような(揺れてませんが・笑)拍手。ファイナルコンサートで気分が高揚していた私も久々にLFJでスタオベしました。215と同様、客電がついても拍手は鳴りやまず、やっぱり最後にはルネ氏を引っ張り出してきてカーテンコールを締めました。ツイッターで感想を拾ってみると、通常の演奏よりもテンポが速めだったみたいですね。勢いを感じたのはそんなところにあったのかなと思いました。
ということで4年ぶりのLFJ、とても楽しめました。来年についてのアナウンスが出ていませんが、継続を期待したいです。
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