演劇「日の丸とカッポウ着」を観る
10日は東京・浅草九劇で演劇「日の丸とカッポウ着」を観てきました。1932年に大阪で誕生し全国組織になった「国防婦人会」の顛末を描いた演劇です。これを知ったのは9日付東京新聞の「社説」。「カッポウ着と戦争協力」のタイトルでこの演劇を取り上げ、そこに込められたフェミニズムの視点と戦争協力に組み込まれた歴史から何を学ぶかを論じています。硬軟とりまぜたテーマを「ですます」調で書き比較的柔らかいのが東京新聞の日曜の社説「週のはじめに考える」の特徴ですが、演劇が取り上げられるのはたいへん珍しいことです。読んで、これは観ておきたいと思いましたが席が空いていたのが10日夜だけだったという次第。連日満員だったようです。100席ほどの小劇場でしたが私が観た回も通路までびっちり埋まってました。
内容については紹介した社説を見ていただければだいたいわかっていただけると思うので割愛(^^; 初めは素朴な思いから始まった主婦の民間運動が、国(陸軍)に取り込まれて国民統制の手段に変わってゆく(変えさせられてゆく)様には考えさせられましたし、怖いなという。。。ただ、初期の段階で国防婦人会が運動を大きくするためや、役人・軍人の妻で構成されていた「愛国婦人会」への対抗心から陸軍の後ろ盾を得ようとした時点で(芝居ではそう描かれている)運命は決まっていたようにも見えてしまいます。もちろん、歴史として後から見ているからというのもありますが。大阪vs東京、庶民vs上流階級という対抗心を周囲(そこには新聞も入る)が煽らなければ、もう少し違った結果になったかもしれないかなと思うのは甘いのかな。
それと、本当のことを知らないことの怖さでしょうか。中国で本当は何が起きていたのか知らぬまま国防婦人会は活動していたわけで、これもまた知っていたらもう少し違った結果になったかもしれないかも、なのですが当時は情報統制で知る由もなく。。
重いテーマでしたが、基本は大阪のおばちゃんが織りなす物語なので特に前半は大阪的なノリのコミカルな味付けで笑いどころも多数。役者さんもみなさん良くて、約2時間ぐいぐいと引き込まれる芝居でした。
戦後80年の今年にこの演劇を観ることが出来て良かったです。やはり「戦前」にはしたくないですね。
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