2022年2月17日 (木)

扉座サテライト「リボンの騎士2022」を観る

 先週末はすみだパークシアター倉で扉座サテライト25期の公演「リボンの騎士2022~県立鷲尾高校演劇部奮闘記」を観てきました。扉座サテライトというのは私が推している劇団扉座が若手を育てる研究所で、今回はその卒業公演という扱い。「リボンの騎士」は過去に扉座の本公演やオーディションによるキャストの上演がされてきましたが、今後は扉座サテライトの卒業公演として定番になるようです。

 研究生の卒業公演を観るのは初めてでしたが、演劇の情熱・熱量がバシバシと伝わる、良い芝居でした。ベテランとは味は違うかもしれないけれど、演劇に燃える若者の勢いっていいなと。AチームとBチーム3公演ずつのうち、12日のAチーム、13日のBチームを観ましたが、配役だけでなく演出にも違いがあり、どちらも甲乙つけがたいものでした。Aチーム、Bチームといってもキャストが別になっているのではなく、AとBで違う役をやるということで(どちらも同じ役の方もいましたが)、タイプの異なる役をこなすのは稽古も大変だっただろうなと。こんな仕掛けにしているのも卒業公演だからなのかな。

 13日は千秋楽だったので、キャストの皆さんも終盤に近くなるにつれ万感の思いで演じているだろうことが伝わってきて、観ているこちらも胸にこみ上げてくるものがありました。演劇って儚いですよね。長い間稽古して、幕が上がって何回か演じてそれで終わり。ましてや卒業ということで。カーテンコールで代表者があいさつをしていましたが、ぐっときました。レッスンも新型コロナの影響を多大に受けてたようですが、ここまでたどり着いたのは本当に良かったと思います。今後の25期の皆さんに幸あれ、と思います。

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2022年1月23日 (日)

舞台「中島鉄砲火薬店」を観る

 きのう1月22日は東京・新国立劇場で舞台「中島鉄砲火薬店」を観てきました。21日から新型コロナの「重点措置」適用地域になっていますが、いまのところエンタメ界への休業要請等はなく、感染防止対策を徹底したうえで上演が続けられています。とはいえ関係者に陽性者が出るとその時点でストップしてしまいますから、まずは観られたことに感謝。

 新撰組の構成員だった中島登の、幕末~明治維新の動乱が終わったその後を描いた芝居ということで、個人的に題材として新撰組には心ひかれないのですが、箱推ししている扉座の劇団員である高木トモユキさんがキャストに入っているので観てみました。先々週の「フランケンシュタイン」と同じような流れです。客席は女性がかなり多く、女性に人気の役者さんが多かったということでしょうか。そういえば「フランケンシュタイン」も「中島鉄砲火薬店」も物販でブロマイドを売ってるんですね。扉座ではこんなことはないのでちょっとびっくり。

 この芝居、とても面白かったです。新撰組として人を斬った負い目を抱きながら生きる姿を描いているので、内容としては重くシリアスな部分もありながら、脚本と演出が随所で笑いを取りに行っていて、上演中は客席からは結構笑い声が。そしてキメるところはキメる。殺陣もかっこよかったですね。人はなぜ争うのか、なぜ生きるのか。そんな投げかけを受け止めつつ、最後は心温まるような感じ。観て良かったと思いました。

 個人的にお目当ての高木さんは土方歳三役でこれまたかっこかったです。西南戦争が終わった後の話なので時間軸的に黄泉の国へ行っているはずですが、夢の中で現れる設定。同じ舞台で時間が交錯するのは演劇ならではといった感じがします。

 公演は1月27日まで。後日配信も予定されているそうです。公演情報は公式サイトでどうぞ。

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2022年1月10日 (月)

舞台「フランケンシュタイン」を観る

 昨1月9日は新宿・紀伊國屋サザンシアターで舞台「フランケンシュタイン - cry for the moon -」を観てきました。怪物役の七海ひろきさん、アガサ役の彩凪翔さんが宝塚歌劇出身ということでなのか、女性がかなり多い客席。怪物を生んだ科学者フランケンの婚約者ほかの役でAKB48出身の横山結衣さんが出ていますが、そちら方面の方は少なかったんでしょうね。私は推している扉座の劇団員で注目している北村由海さん目当て。間違いなく少数派でしょう。扉座の公演で印象的な芝居をする方なので、実力で役を取ったという外部公演を観てみたかったのでした。北村さんと横山さんとは扉座公演「最後の伝令 菊谷栄物語」で共演した仲でもあります。

 私はフランケンシュタインというと名前を聞いたことがあるぐらいで小説を読んだり映画を観たりしたことがなく、実質的にまっさらの状態で今回観劇しましたが、良い芝居でした。人間の身勝手さや醜さがこれでもかと描かれるいっぽうで、優しさや純真さも織り交ぜてあって、最後は希望が見える終わり方だったのが良かったです。あとからネットで原作のあらすじなどを確認しましたが、脚本は原作の設定を借りた創作といってもいい感じでしたので、過去の映画や演劇を観ていてもまったく新しい芝居として楽しめるのではと思いました。本作の演出は錦織一清さんですが、演出の仕事をしているというのを初めて知りました。基本的にシリアスなストレートプレイながら所々に笑えるところがあっていいアクセントになってました。観劇といえばほぼ扉座ばかりで、いわゆる商業演劇を観たのは実は初めてなのですが、少ないキャストが2役・3役をこなしたり最小限のセットで進行していく形は小劇場っぽさがあって私にとって観やすかったです。観劇料は10,000円(各種手数料除く)で商業価格でしたけどネ(微笑)。そう考えると5,000円程度で観ている扉座の公演のなんとハイコストパフォーマンスなことか。もっとも扉座の芝居は2度・3度観るので総額はそれなりになりますが。

 お目当ての北村さんはフランケンシュタイン家の召使いと酒場の店員の2役。召使いは真面目で職務に忠実であるがゆえに煙たがられるだろう感じが出ていて、重要な場面で喉まで出かかって言い出せなかった叫びは胸に詰まるものがありました。酒場の店員は俗っぽさがいかにもな感じ。そうそうたるキャストの中で独自の色をしっかり出してました。いい役者さんです。そのほかのキャストのみなさんも素晴らしく、いちばん若手の横山さんもさすが扉座主宰の横内謙介さんに見出されているだけあって堂々と渡り合っていました。

 1月16日までの東京公演は座席指定前売券は完売状態ですが、現時点でローチケの当日引換券(座席は劇場で指定)がまだ買えます。(←私もそれで入りました) 大阪公演は1月20日~23日。東京・大阪とも3,800円で観られるライブ配信もありますのでよろしければ。公演情報は公式サイトでどうぞ。

舞台「フランケンシュタイン - cry for the moon -」公式サイト

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2021年12月30日 (木)

あっという間に年の瀬

 早いもので12月30日、あと2日で新年です。12月は個人的にはなんだかあっという間に過ぎて行った感じになりました。というのも、新型コロナの状況が落ち着いてきたことでエンタメ系のイベントに行く機会が多かったのです。すでに綴った扉座の「ホテルカリフォルニア」観劇も、もう一度観に行きましたし、そこで貰ったフライヤーにあった #北区の熱海 北区AKT STAGE公演「熱海殺人事件」も観ました。扉座の、特につかこうへい原作の上演には熱海殺人事件のシーンや音響などあれこれが引用されれいると聞いてはいましたが、今回初めて「熱海~」を観て、なるほど、そういうことだったのかと思いました。知ってるのと知らないのとでは見方が変わってきますね(といっても知らなくても楽しめますが)。先の「ホテルカリフォルニア」でも横内謙介さんが熱海殺人事件を観て演劇にはまっていったことが描かれていますが、私の中でいろいろなことがつながりました。

 音楽では「ソワレが唄う~越路吹雪ロングリサイタル」。14日から26日までの長丁場の公演でしたが、そのうちの三浦浩一さんがゲストの日に伺ったり、銀座deシャンソン(きゃんひとみ、メイリー・ムー、ソワレ)がゲストの回を配信で観たり。これも楽しかったですね。越路さんの貴重な映像なども映しつつ、音源が残っていない越路さんのナンバーをリサイタルの台本や楽譜から再現しようという意欲的な取り組みでした。他に、推しているいまのまいさん出演のライブもいくつか。

 そんなことをしていたので、15日に発売された尾崎亜美さんの45周年記念CD-BOXも手に入れているのですが、いまのところ中身を点検しただけ(^^; ブックレットをささっと見てみたら、ほぼ亜美さんのロングインタビューとなっていて、文章のあるページが28枚ぐらいある大ボリューム。ちなみに歌詞は各CDのスリーブを見よ、となっています。CD自体はプラケースですが歌詞カードはLPの縮小版という、河合奈保子さんのSACDハイブリッド盤と同じような仕様でした。お正月にゆっくり見ましょうかね。といってもお正月も駅伝やら聴いてたらあっという間に過ぎそうですが(^^; 新年はエンタメの正常化に向かっていって欲しいところですが、また変異株で盛り上がりそうなのが気がかり。新しい年は落ち着いた年であって欲しいです。

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2021年12月14日 (火)

扉座40周年公演「ホテルカリフォルニア」を観る

 週末の12月12日は、東京・紀伊國屋ホールで劇団扉座の40周年記念公演「ホテルカリフォルニア~私戯曲 県立厚木高校物語」を観てきました。紀伊國屋ホールが入る紀伊國屋書店ビルは耐震補強の工事中で、地下の食堂街はほとんど閉鎖、書籍売り場もだいぶ狭くなっていますが、劇場は元気でした。ロビーにはお祝いの花が並び、物販にはこれから演じるキャストの皆さんが物販に出ていらして大賑わい。新型コロナ禍のなかでの扉座の公演では、終演後のロビーにキャストの皆さんがお出ましになることもなくなりましたが、キャストと観客が接しているのは久々です。

 この芝居は97年に初演ということですが、10年前から扉座を観始めた私にとっては初見。サブタイトルにもあるように主宰の横内謙介さんの高校時代のエピソードを元にした内容ということで楽しみにしていました。名前だけの厚木高校演劇部員だった横内さんが、先輩におごられて新宿紀伊國屋ホールでつかこうへい作「熱海殺人事件」を観て演劇にのめり込むというエピソードがあって、観劇をおごった先輩役として横内さんも登場。登場しただけで大拍手だったのは劇作家で舞台には登場しないからですね。とはいえ演劇部をメインにしたストーリーというわけではなく、シラケた校内で文化祭をどう盛り上げるか奮闘する生徒の姿がメイン。当時の高校の事情・世相などを背景にしてもがく高校生たちを描いていました。そんなことあるのかよみたいなネタやキャラの濃い登場人物が多数なこともあって大いに笑いましたし、ベテランと若手の織りなす熱く、ある意味で体を張った芝居に客席も沸いてました。もがく高校生のなかには残念な結末を迎える、ほろ苦い要素も。「もっと話がしたい」がキーワードですが、新型コロナ禍でコミュニケーションが希薄になったと言われる今にも結果として通じるような気がしました。

 ネット上では扉座をずっと応援し続けている人の感想が多く見られて、創立メンバーがステージに並んでいる姿に胸熱といった声をよく目にしますが、そういう要素を除いても初見で楽しめる作品です。いつもの扉座公演よりも上演時間が30分ほど長い2時間半ですが、長さを感じません。40周年で劇団員総出というにぎやかさに加え、開演前には六角精児さんのDJが場内に流れ(毎回生放送だそうです)、幕間の休憩時間にも山中崇史さんのパフォーマンスがあったりして、楽しませようという仕掛けが山盛り。これが前売り5,000円(当日5,500円)で観られるのはお値打ちです。加えて学生さんは平日に500円で観られるチケットも。平日を中心にまだ席があるそうなのでぜひどうぞ。テレビドラマでは見られないものを観ることができます。19日までです。情報は扉座のサイトで。

 

 私が観た回は、特別公演ということで横内さんが高校演劇で書いた「山椒魚だぞ」も再現上演されました。大学受験を控えてもがく高校生を描いてますが、娯楽色の強い「ホテルカリフォルニア」とは違う深遠な世界観。高校生でこんな作品を書いていたのかと驚きました。扉座40年の歴史のなかで10年しか知らない私ですが、とても記念になる観劇になりました。

 そうそう、「山椒魚だぞ」は若手劇団員と研究生が中心のキャストでしたが、「ホテルカリフォルニア」はベテラン劇団員も詰襟・セーラー服姿で高校生を演じています。映画やTVドラマではありえないことですが、なんとなくらしく見えてしまうところが演劇のマジックだと思います♪

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2021年10月31日 (日)

劇団扉座「二代目はクリスチャン」を観る

 昨30日はすみだシアターパーク倉で劇団扉座の40周年記念公演「扉座版・二代目はクリスチャン -ALL YOU NEED IS PASSION-」を観てきました。昼夜2公演の夜の部(ソワレ)で、終演後の余興「ラクイブナイト」つき♪

 この公演、10月21日から始まっていているので、すでにプロのライターによる写真つきの観劇記が出ています。

劇団扉座第71回公演 幻冬舎Presents 扉座版『 二代目はクリスチャン ―ALL YOU NEED IS PASSION―』熱い想い、笑って泣けてスカッと!(シアターテイメントNEWS)

 なので、あれこれ私が書くこともないのですが、私なりにいくつか。

 この公演、私にとっては驚きのあるものでした。扉座を観はじめて10年ですが、初めてセットのない舞台の芝居でした。正確にいうと、ある大事なシーンだけセットが登場しますが、それ以外は黒い幕で三方を囲まれた素の舞台。けれど熱い演技でそんなことがまったく気にならない。セットによる説明が不要な演技というか。もともと扉座の芝居のセットはシンプルですが、こんな何にもない空間でもいけるのだと。
 そして、主演が客演の石田ひかりさん。小劇団の小さなハコの公演に出演されるのも驚きですが、衣装が基本「黒ジャージ」というのがまた驚き。「二代目はクリスチャン」はつかこうへい原作ですが「つか芝居」においてはジャージが「戦闘服」だったそうで、ご本人たっての希望でそうなったと。このあたりの経緯は、インタビュー記事に詳しいです。

『扉座版 二代目はクリスチャン』上演中! 横内謙介・石田ひかり インタビュー(演劇キック)

 ハコが小さいですからかなり近くで観ることになるのですが、いやーべっぴんさんだわ。そして溢れる清潔感。およそヤクザには見えない(笑)。そこが「天使と慕われたクリスチャンがヤクザの女房になった」という設定を体現する狙いなのかなと思いました。

 「つか芝居」ということで、ストーリーははちゃめちゃです。荒唐無稽と言ってもいい。それを主宰の横内謙介さんは「ヤクザファンタジー」と表現していますが、とにかくありえない展開がいろいろ出てきます。でも全部ファンタジーかというと、リアルなものもそこに入ってきてる。設定は暴対法の施行下だし、原発の廃炉問題とか政治の不祥事とか、世相を織り込んだ社会風刺も盛られているのは扉座らしいところかなと。今日は衆院選の投開票日ですが、たまたま選挙戦真っ只中に上演されているところに味わい深さを感じたりしました。面白かったです。

 

 上演後のラクイブナイトは、劇団員・山中崇史さんの責任進行で劇団創立メンバーのひとりである岡森諦さんの還暦お祝い会。お祝いなのに劇団員から出てくる話はディスりが多くて大笑いでした。石田さんは今回の座組で初めての共演だそうで、良くしていただいたといいつつも気づいたエピソードを。最後は高校演劇から共にした主宰の横内さんからの祝辞の読み上げ。愛される存在なんだなあと感じました。

 今日が千秋楽ですが小さなハコで大物客演ということもあってか連日大入りのようで何よりでした。12月には劇団員総出の記念作「ホテルカリフォルニア」の上演があります。こちらも楽しみです。

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2021年7月 4日 (日)

劇団扉座40周年記念公演「解体青茶婆」を観る

 きょう7月4日は東京 座・高円寺で上演中の劇団扉座40周年記念公演「解体青茶婆」を観てきました。

 すでにいくつかのメディアに公演レポートが出ています。例えば、zakzakはこちら。
 【エンタなう】杉田玄白の“人体解剖”に知られざる秘話 劇団扉座「解体青茶婆」

 また、公演への思いなど、扉座主宰の横内謙介さんのインタビュー記事が演劇キックに出ています。
 医学の発展に寄与した人たちの話を描く! 扉座創立40周年記念公演『解体青茶婆』 横内謙介インタビュー

 もう、これ読めばレポは要らないかもしれないですが、私の感じたことを。

 物語は杉田玄白の私塾の一室のみで進行し、場面転換の暗転はあってもセットの転換はありません。ろうそくの灯りを中心にした舞台は幽玄な世界で、さらに劇伴は新日本フィルの楽団員のヴァイオリン生演奏という贅沢な空間。そんな舞台で、重厚なセリフ劇が展開されます。エンターテインメントの要素も織り込んでいて所々で客席から笑いが出ますが、全体には社会性というか、メッセージ性の強い芝居でした。蘭学の医術で人の命を救おうという熱量のこもった人々の思いがほとばしる芝居にとても感動しました。そして、腑分け(解剖)に係わった被差別階級の人々や女性の置かれた立場と苦悩も描かれ、果たして現代は当時の苦しみが解消したのかということも考えさせられました。日本人も外国人も、天下の大罪人だろうと人は解剖すればみな同じって、言われてみれば確かにそう。幕府の方針転換で民間に大きな影響が出たり、問題発生時に幕閣が責任を取らず現場の役人に責任を押し付けるっていうのは、江戸時代の話でありながら今、霞が関で起きていることのようにも感じられ。。。そして記録の大切さですね。解体新書の翻訳を決意することになった腑分けの経緯について正しい記録を後世に残そうと、門下生が情報集めに奔走する姿が物語の軸なのですが、これも霞が関に聞かせてやりたいものです。

 私が扉座を観るようになったのは2011年の「オリビアを聴きながら」ですが、今回の「解体青茶婆」は私にはそれと重なるものがあると感じます。「オリビア~」は東日本大震災を背景に作られ、社会性のある硬派な作品でした。今回は新型コロナ禍を背景にして作られた医療がテーマの硬派な作品です。まさに今、観るべきな、間違いなく傑作のひとつに入る作品だと私は思います。そんな素晴らしい芝居のチケットがまだ買えます!7月11日まで上演していますので、ぜひ。公演情報は扉座のサイトでどうぞ。

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2021年5月16日 (日)

劇団扉座の創立40周年記念公演は

 2011年に上演された音楽劇「オリビアを聴きながら」以来、劇団扉座を推している私に、創立40周年の記念公演のお知らせはがきが届きました♪ファンクラブみたいなものに入っているわけではないですが、行った公演のアンケートで扉座からの連絡希望を「有」にしているので次作の案内が届くのです。

 公演のタイトルは「解体青茶婆」。解体新書の翻訳発刊のきっかけとなった刑死者の腑分け(解剖)の顛末を戯曲にしたものだそうです。扉座主宰の横内謙介さんによると、新型コロナ禍が続き苦しめられているなか、医学をテーマにしたものが書きたくなったとのこと。

 40周年ですから本来は劇団員総出で盛大にやりたいところだとは思うのですが、このご時世で実力者中心の小人数の座組。劇団としては複雑な心境だったのではと想像しますが、なんとしても「見る価値のある芝居を届けたい」ということだと思います。そういえば扉座を観るきっかけになった「オリビアを聴きながら」も東日本大震災の直後で、社会性のある硬派な芝居でした。

 公演情報は扉座のサイトで。なんとか無事に開催できますよう。まあ、7月上旬に小劇場の公演すらできないような事態なら、同月の国際的な商業運動会などとても無理ですね。

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2020年12月30日 (水)

扉座公演「お伽の棺2020」を観る

 きのう12月29日は劇団扉座の公演「お伽の棺2020」の千秋楽を観てきました。この芝居の上演は28日1回、29日2回の計3回のみ。もともとは6月に予定されていた公演でしたが新型コロナ禍で中止になり、東京都の文化芸術支援プログラム「アートにエールを!」のステージ型の助成を得て復活したもの。で、助成の条件が上演を12月31日までに行うこととなっていたために、この歳末の時期の公演になったということです。ちなみに「アートにエールを!」には配信動画を制作する個人型もあって、私が推しているユニット「昭和とらいあんぐる」も参加しています(浅香唯さんのBelieve Againをカバー)。

 さて前置きはこのぐらいにして、「お伽の棺2020」の話。あらすじは扉座のサイトで確認できますので見ていただければと思いますが、私が今まで観てきた扉座の芝居の中でもっともシリアスな内容でした。嘘偽りを語らないことという掟のある村で、ひとつの嘘がまた次なる嘘を生むという展開。純朴な男は嘘をつき続けることに苦しみ、ついに知人に真実を話すも、それは村にとって都合が悪いと、さらなる嘘を強いられる。まるで今大きな問題となっている国会議員の虚偽答弁を彷彿とさせるかのよう。初演は94年なので今の政治を意識して書かれた作品ではありませんが、なんというタイミングでの上演かと思いました。そして、嘘偽りを語らないことという掟の理由がまたあっと驚く内容なんですね。上の目を盗んで不正を働くために正直さで信用を得ようという矛盾。主宰の横内謙介さんらしい、重層的な内容で、正直とは何か、嘘とは何かということを考えさせれた芝居でした。結局、嘘というのは何かを守るためにすること。その守る対象が何かが問題。。。

 シリアスな内容を一層引き立たせるのが演出と舞台の効果。演者はたった4人。蝋燭の光と尺八の生演奏の中で繰り広げられる濃密な芝居。効果音は演者みずからラジオドラマ用の器具で作り出していました。幽玄な世界という感じで、これも初体験でした。

 どーんと重かったけど、観て良かった作品でした。これにて今年の観劇納め。来年、音楽や演劇の公演を取り巻く環境が少しでも良くなることを願わずにはいられません。

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2020年12月14日 (月)

劇団扉座の「ドラマチック・リーディング」を聴く?

 劇団扉座が12月5日から13日まで「10Knocks ~その扉を叩き続けろ~」という公演をを新宿・紀伊國屋ホール上演しました。これまでに上演してきた作品の中から10作を選んで「ドラマチック・リーディング」により日替わりで上演するというもので「扉座40周年記念☆withコロナ緊急前倒し企画」という肩書がついてます。緊急前倒しというのは、もともと予定していた企画を前倒ししたという意ではなく、扉座の創立が1982年なので「40周年記念」を前倒しにした、ということだそうで。演劇界も新型コロナの大きな影響を受けていますが、そんななかで出来ることは何かを考えた結果、生まれた企画とのこと。

 ドラマチック・リーディングとは何だろう?と思いつつ、私は12日の公演に行きました。この日は昼夜2公演でしたので、両方とも。いままでクラシックフェス「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」でコンサートのハシゴはしていますが、演劇のハシゴは初めて。

 で、リーディングという言葉からは、マイクの前で役者さんが台本を繰りながらセリフを言う放送劇(ラジオドラマ)をイメージしてたのですが、全く違いました。確かに役者さんは台本を手にしていて、状況説明(ト書き)の語りもあるのですが、ステージにセットが組んであって、衣装も着けていて、それになにより役者が動く動く。進行に応じて立ち位置(座り位置)を変え、場面によっては台本を離して演技といっていいパフォーマンスを繰り出し、照明効果もある。感覚としてはかなり演劇に近いもので、目をつぶって耳だけの世界に浸るか、なんてことは全くできず、ステージにくぎ付けに。これはもう聴くではなく観るです。

 12日の昼公演は「愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸」。
 これは「裸の王様」をモチーフの一つにしたもの。目に見えるものだけが真実なのか、見えないものに真実はないのかということを問いかけるような物語。重層的な筋書きで、人間の醜さ、弱さをガツンと描いていて、重いと言えば重い。それでも希望を感じさせる終わり方だったのは扉座らしいなと。岡森諦さんと有馬自由さんの絶妙な掛け合い、とぼけた味を出した客演の菊池均也さん、良かったですねえ。客演の林田尚親さんのパントマイムも絶品でした。客演の七味まゆ味さんは「美しいものにトゲがある」という感じでちょっと怖かったな(←あくまで役の話です)

 夜公演は「アゲイン-怪人二十面相の優しい夜」
 これはそのものずばり怪人二十面相がモチーフで、昼とは対照的にエンタメに徹した内容。老いぼれてしまった怪人二十面相を元気にするため、手下が元・少年探偵団を拉致してきて対決させようという(笑)。上演中に笑いと拍手が何度も起きていました。怪人二十面相役の山中崇史さん、かっこよかったですね。対峙する明智小五郎役の三浦修平さんも若手ながらかっこいい。この二人はほとんど動いてましたね。そしてコミカルに動きまわっていた小林少年役の鈴木利典さんに場内沸いてました。この作品はリーディングというよりはほぼ演劇でしたね。

 演劇の力、そして扉座の底力を感じた一日でした。そして扉座観劇歴9年の私にとっては、それ以前の作品にこういった形でも触れることができたのは嬉しかったです。演劇人が気兼ねなく演じられる日が早く戻りますように。

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