2020年12月30日 (水)

扉座公演「お伽の棺2020」を観る

 きのう12月29日は劇団扉座の公演「お伽の棺2020」の千秋楽を観てきました。この芝居の上演は28日1回、29日2回の計3回のみ。もともとは6月に予定されていた公演でしたが新型コロナ禍で中止になり、東京都の文化芸術支援プログラム「アートにエールを!」のステージ型の助成を得て復活したもの。で、助成の条件が上演を12月31日までに行うこととなっていたために、この歳末の時期の公演になったということです。ちなみに「アートにエールを!」には配信動画を制作する個人型もあって、私が推しているユニット「昭和とらいあんぐる」も参加しています(浅香唯さんのBelieve Againをカバー)。

 さて前置きはこのぐらいにして、「お伽の棺2020」の話。あらすじは扉座のサイトで確認できますので見ていただければと思いますが、私が今まで観てきた扉座の芝居の中でもっともシリアスな内容でした。嘘偽りを語らないことという掟のある村で、ひとつの嘘がまた次なる嘘を生むという展開。純朴な男は嘘をつき続けることに苦しみ、ついに知人に真実を話すも、それは村にとって都合が悪いと、さらなる嘘を強いられる。まるで今大きな問題となっている国会議員の虚偽答弁を彷彿とさせるかのよう。初演は94年なので今の政治を意識して書かれた作品ではありませんが、なんというタイミングでの上演かと思いました。そして、嘘偽りを語らないことという掟の理由がまたあっと驚く内容なんですね。上の目を盗んで不正を働くために正直さで信用を得ようという矛盾。主宰の横内謙介さんらしい、重層的な内容で、正直とは何か、嘘とは何かということを考えさせれた芝居でした。結局、嘘というのは何かを守るためにすること。その守る対象が何かが問題。。。

 シリアスな内容を一層引き立たせるのが演出と舞台の効果。演者はたった4人。蝋燭の光と尺八の生演奏の中で繰り広げられる濃密な芝居。効果音は演者みずからラジオドラマ用の器具で作り出していました。幽玄な世界という感じで、これも初体験でした。

 どーんと重かったけど、観て良かった作品でした。これにて今年の観劇納め。来年、音楽や演劇の公演を取り巻く環境が少しでも良くなることを願わずにはいられません。

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2020年12月14日 (月)

劇団扉座の「ドラマチック・リーディング」を聴く?

 劇団扉座が12月5日から13日まで「10Knocks ~その扉を叩き続けろ~」という公演をを新宿・紀伊國屋ホール上演しました。これまでに上演してきた作品の中から10作を選んで「ドラマチック・リーディング」により日替わりで上演するというもので「扉座40周年記念☆withコロナ緊急前倒し企画」という肩書がついてます。緊急前倒しというのは、もともと予定していた企画を前倒ししたという意ではなく、扉座の創立が1982年なので「40周年記念」を前倒しにした、ということだそうで。演劇界も新型コロナの大きな影響を受けていますが、そんななかで出来ることは何かを考えた結果、生まれた企画とのこと。

 ドラマチック・リーディングとは何だろう?と思いつつ、私は12日の公演に行きました。この日は昼夜2公演でしたので、両方とも。いままでクラシックフェス「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」でコンサートのハシゴはしていますが、演劇のハシゴは初めて。

 で、リーディングという言葉からは、マイクの前で役者さんが台本を繰りながらセリフを言う放送劇(ラジオドラマ)をイメージしてたのですが、全く違いました。確かに役者さんは台本を手にしていて、状況説明(ト書き)の語りもあるのですが、ステージにセットが組んであって、衣装も着けていて、それになにより役者が動く動く。進行に応じて立ち位置(座り位置)を変え、場面によっては台本を離して演技といっていいパフォーマンスを繰り出し、照明効果もある。感覚としてはかなり演劇に近いもので、目をつぶって耳だけの世界に浸るか、なんてことは全くできず、ステージにくぎ付けに。これはもう聴くではなく観るです。

 12日の昼公演は「愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸」。
 これは「裸の王様」をモチーフの一つにしたもの。目に見えるものだけが真実なのか、見えないものに真実はないのかということを問いかけるような物語。重層的な筋書きで、人間の醜さ、弱さをガツンと描いていて、重いと言えば重い。それでも希望を感じさせる終わり方だったのは扉座らしいなと。岡森諦さんと有馬自由さんの絶妙な掛け合い、とぼけた味を出した客演の菊池均也さん、良かったですねえ。客演の林田尚親さんのパントマイムも絶品でした。客演の七味まゆ味さんは「美しいものにトゲがある」という感じでちょっと怖かったな(←あくまで役の話です)

 夜公演は「アゲイン-怪人二十面相の優しい夜」
 これはそのものずばり怪人二十面相がモチーフで、昼とは対照的にエンタメに徹した内容。老いぼれてしまった怪人二十面相を元気にするため、手下が元・少年探偵団を拉致してきて対決させようという(笑)。上演中に笑いと拍手が何度も起きていました。怪人二十面相役の山中崇史さん、かっこよかったですね。対峙する明智小五郎役の三浦修平さんも若手ながらかっこいい。この二人はほとんど動いてましたね。そしてコミカルに動きまわっていた小林少年役の鈴木利典さんに場内沸いてました。この作品はリーディングというよりはほぼ演劇でしたね。

 演劇の力、そして扉座の底力を感じた一日でした。そして扉座観劇歴9年の私にとっては、それ以前の作品にこういった形でも触れることができたのは嬉しかったです。演劇人が気兼ねなく演じられる日が早く戻りますように。

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2020年10月21日 (水)

劇団扉座「リボンの騎士2020」を観る

 劇団扉座の公演「リボンの騎士2020~県立鷲尾高校演劇部奮戦記~ベテラン版withコロナトライアル」が今月10日から18日まで行われ、そのうちの2ステージを観てきました。なぜ2ステージかというと、チームAとチームBの公演があったので、やはり両方観ねばということで。

 やたら長いタイトルの公演名ですが、いろいろなことが込められています。「リボンの騎士」は2018年に扉座で上演され、2019年も若手のオーディションを主体とした座組で扉座Next Stage として上演されました。今年も2019年と同様の企画を立てていたところが新型コロナ禍となり、オーディションは断念して扉座劇団員でやることにした、とのこと。これによって「ベテラン版」と付記され、さらにこの新型コロナ禍の中でどうしたら芝居を上演できるかという試行錯誤が入ったことで「コロナトライアル」となっています。

 会場は、東京・すみだパークスタジオ倉。なんとこけら落とし公演です。主宰の横内謙介さんによると、そのことも公演を決断した要素であったそうです。

 直近で、さいたま市の劇団で感染者集団が発生した(ただし公演前)というニュースがあり感染防止対策は気になるところですが、劇団員は2度PCR検査を受けたとのこと。また稽古中はマスク着用だったそうです。観客向けには入口での検温と手指消毒、さらに消毒液を浸したマットで靴の裏も消毒、前から2列目までの客席はフェイスシールド着用必須。座席はガイドラインに従った離隔を確保、公演後のキャストとの面会と物販の中止など、やれることは全部やったという感じでした。

 ちょっと緊張感のある公演でしたが、芝居はとても良かったです。扉座のベテラン・中堅が入った座組で高校を舞台にした芝居をやるのですから、まあ実年齢と役年齢がだいぶ離れる人も多いのです。でもね、若々しく生き生きとした芝居で、みなさんそれなりに見えちゃうんですよ、不思議に。中にはあえて笑いを取る設定の人もいましたけど(微笑)。そして生の舞台の熱量。ああ皆さん芝居がしたかったんだなあというのが伝わってくるようでした。今回センターを張ったのが個人的に芸達者で注目していた若手の北村由海さんで、不器用すぎる演劇部員を好演していて目を細めました。今後がますます楽しみ。

 演出は感染症対策を取り入れた形に変えられているところがいくつかありました。例えば、教室のように椅子を縦横に並べるような場面が、円陣のように椅子を並べる形に変わっていたり、生徒会総会のシーンがWebによるリモート開催になっていたり、飛沫防止のビニール幕を張っての演説シーンとか。密を避けたり飛沫防止をとったりという実用的な対策をうまくネタに取り込んで笑いも取るなんて、さすが世相や時事を取り込むのが上手い扉座だなと思ったりしました。さらには途中休憩を入れて換気タイムを兼ねたり、バックステージの搬入口を開ける演出があったりと「コロナトライアル」は随所にありました。

 この状況のなかで、最大限の対策をしつつこれだけのクオリティの芝居を、しかもコロナ前と同じ料金で上演した扉座に大拍手を送ります。このクオリティなら値上げしても良かったんじゃないかと思うんですよ。客席数が減っているのですから。実は、9月の尾崎亜美さんのコンサートは、東京と京都の公演は大幅に値上げされてたんですよね(^^; 千葉公演は振替公演だったので値段据え置きでしたが。。。

 劇団はいま苦しい状況下にありますが、やはり生の舞台はいいものです。気兼ねなく芝居が上演できる状況が早く訪れるよう祈るばかりです。

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2019年12月10日 (火)

1937年はどんな年だったのか

 先月観劇した扉座公演「最後の伝令~菊谷栄物語」は1937年(昭和12年)が舞台でした。エノケン一座の座付き作家が召集され、あっけなく中国で戦死してしまった実在の人物をモチーフにした芝居でしたが、そもそも1937年とはどんな年だったのか、自分でもすこし調べてみました。

 作品を書いた扉座の横内謙介さんはブログで「作品の事前検閲は激化し、すでに思想統制は始まっていて、菊谷も言葉狩りに遭って、苦労したようだが、ジャズの演奏や横文字そのものは、普通に使うことが出来たのである」と解説しています。確かに、前年には1940年オリンピック東京大会の開催が決定していたわけですから、この時点で外国文化を排斥するところまでは行ってないというのは分かる気がします。

 思想統制のほうはどうか。3月には防空法が成立し国民の防空訓練への参加を義務づけ。この防空法は後に改定を繰り返し、以前にも紹介したように戦争末期には都市からの退避禁止や空襲時の避難禁止(逃げるな火を消せ)というトンデモな内容が加わっていきます。7月に盧溝橋事件をきっかけに日中戦争が始まると、8月には近衛内閣が国民精神総動員実施要領を閣議決定。このあたりから思想統制が本格化したということでしょう。

 経済統制はどうか。10月に鉄鋼工作物築造許可規則が制定。鉄筋・鉄骨造の建築の制限が始まり、各地で建設途上あるいは計画中だった百貨店やオフィスビルが階数を低く設計変更したり、建設自体が中止されたりといったことが相次ぎます。翌38年になると、3月に綿糸・ガソリン・重油の切符販売制が始まり、4月には国家総動員法が成立。あらゆることが戦争優先になっていきます。そして、38年7月、1940年オリンピック東京大会の開催返上決定。

 芝居に描かれた菊谷栄の召集は1937年9月。時系列と比べると、日中戦争は始まったものの生活物資の統制はまだ始まる前、戦争もどこか遠くのことにように感じている人も多かった頃だったのだろうと思われます。まさに転換点のようなひとときを、描いた作品なのだなと。

 一昨日の12月8日は対米英戦開戦の日から78年でしたが、戦争はその前から始まっていたことも忘れてはならないことだと「最後の伝令」を観て思ったところです。あ、念のために付け加えておくと、「最後の伝令」は反戦芝居とかではありません。1937年を背景にした純粋なエンターテインメントです。ただ、私はそう感じたということで。

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2019年12月 3日 (火)

扉座公演「最後の伝令」を観る

 先週は、劇団扉座の公演「最後の伝令 菊谷栄物語 1937 津軽~浅草」を観てきました。

 菊谷栄って誰?ってところから始まってしまう訳ですが、エノケン(榎本健一)一座の座付き作家で、レビューを書いていた方だそうです。舞台の設定は1937年(昭和12年)、日中戦争が始まった年です。

 物語となっていますが、芝居で描かれていたのは、菊谷が召集されてから出征するまでの、ほんの数日間。それを、起伏のある筋書きで濃密に描いた作品でした。浅草の一座から何も言わず忽然と姿を消した菊谷が召集を受けて故郷の青森に旅立ったとわかった一座の座員が、津軽出身の新人ダンサーに手紙などの届け物を渡す役を頼む。青森で壮行会の二次会にいた菊谷のもとに新人ダンサーがたどりつくが、その夜はいろいろと事件が起こり。。。

 扉座らしく笑いのポイントも多数あり、また浅草の華やかなレビューのシーンも盛りだくさん。そういう楽しいシーンと、青森の出征前のひとときという重苦しいシーンが交錯して、いろんな感情が沸き起こり、心が揺さぶられる芝居でした。とにかく笑ったり泣いたりが忙しくて。。。私、涙腺は固いほうですが、本当に涙が出ました。切なくて切なくて。終盤になるとあちこちからすすり泣きの声が聞こえてきて。

 時局柄、本音を隠して振る舞わざるを得ない人々。迫りくる統制。東北地方の苦境。貧困と人身売買。兵隊と言えども人の子。レビュー作家の矜恃。。。

 キャストの劇団員もみなさん素晴らしかったですが、これを書き始めるととてつもなく長くなるので(笑)、客演に絞って。菊谷の友人で地元紙の記者役の草野とおるさん。インテリっぽさが見え隠れするような、いい味を出してました。キャストながら津軽弁の指導も行ったそうですが、ネイティブでない私には完成度がよく分かりません(^^; もう一人の客演はAKB48・チーム8構成員という横山結衣さん。青森へ走る新人ダンサーという重要な役どころでした。扉座主宰の横内謙介さんが見いだしてキャスティングしただけあって、歌もダンスも芝居もなかなかのもの。劇団員と堂々渡り合っていました。客演扱いですが実は元劇団員の柳瀬亮介さんは芝居だけでなく見事なタップダンスも披露。かっこよかったです。

 

 今回の公演、とにかく短かったのです。厚木公演が2日で2回。東京公演が5日で7回。あっという間に終わってしまいました。再演して欲しいなあ。そして、もっと多くの方に観て感じてもらいたい。そんな芝居でした。

 印象深い台詞があります。『このセリフもそろそろ使えなくなるだろう。こうして大事なセリフが一つ一つ消されていくんだよ』

 そんな世の中にしてはいけない。そう思います。

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2019年10月11日 (金)

「リボンの騎士」ふたたび

 2018年に扉座で上演された「リボンの騎士~県立鷲尾高校演劇部奮戦記」が2019年版として復活したので観てきました。劇場は東京・墨田区のすみだパークスタジオ倉で、繁華街から離れた地味な場所です(言葉選びました)。

 今回は扉座Next Stageとなっていて本公演の扱いではなく、オーディションで選ばれた役者と扉座の若手とで構成された座組。しかし、熱いステージでした!2018年公演から引き続き出ている役者もそこそこいるのですが、配役がことごとく変わっていて、ああ、去年はあの役だった人が今年はこの役なのかとか軽く驚いてみたり。オーディション組が多めなこともあって、筋書きは同じでもフレッシュな感じ。そしてほとばしる若さ。みんなが青春しているって感じが溢れてましたね。

 演出は今回、扉座主宰の横内謙介さんではなく、扉座の中堅女優の鈴木里沙さん。最近は芝居よりも演出の仕事が多くなっていて、きっと横内さんが演出家として育成しているんだろうなあと。大枠は横内版を踏襲してますが、小ネタや一部の役のキャラクターで変化をつけてましたね。前回上演を観た方にとってはあまり変わりすぎるとアレでしょうから、このぐらいがちょうど良かったのかもしれません。ダンスシーンあり、劇中劇あり、笑いあり、涙ありと観る方も忙しいステージは、休憩挟んで約2時間半という長さを感じさせず、引き込まれていきます。

 私が観た10月9日は里沙ナイトと称して演出の鈴木さんと、今年の出演者の柴田瑠歌さん、寺田華佳さん、昨年の出演者の加藤萌朝さん、吉田美佳子さん、そしてどちらにも出ている川北琴音さんによるガールズトークが終演後についてました。これも面白かったです。公演や稽古の思い出などを披露してましたが、ぜんぜんしゃべり足りない感じ(笑)。主役(と言って良いでしょう)の寺田さんは昨年の芝居を見てないそうで、あえて記録映像も見ずに演じているとのこと。なるほど、昨年とは印象が少し変わって見えるのはそういうこともあるのかもしれませんね。

 若い人に観てもらいたい芝居ですが、もちろんそうでない人も楽しめる娯楽作です。漫画の「リボンの騎士」を知らなくても全く問題なし(→私がそうでした)。面白いのでどうぞ足をお運びを・・・と言いつつ、今週末は台風接近なんですよねぇ、もう。なんで台風は週末に来るのかしら?公演は10月14日までです。観劇情報は扉座のサイトで。昨年の観劇記はこちらです。

 

【追記】
台風の影響で12日の昼・夜、13日の昼の公演が中止になりましたが、14日の夜に追加公演が決定しました!
詳しくは扉座のサイト

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2019年8月19日 (月)

マグカル・パフォーミングアーツ・アカデミー「バイトショウ-プラチナ盤ー」を観る

 8月18日の千秋楽を過ぎてから綴っているのが申し訳ないですが、8月17日の夜はマグカル・パフォーミングアーツ・アカデミーのミュージカル公演「バイトショウ-プラチナ盤ー」を観てきました。昨年観て良かった公演だったので、今年もあるかなと思ったらありました(^^) タイトルは「ベスト盤」から「プラチナ盤」へ微妙に変わっていて、昨年と同じでないことを主張しています。マグカルとはなんぞやとか、私が知ったきっかけとかは昨年の観劇記を観て頂ければと。

 観劇のシステム・・・すなわち客席が回り舞台にセットされていて360度回転する趣向は昨年と同じ。盆まわしで場面転換がされていきます。この演出はマグカルが初めて取り入れたのだとか。
 バイトに明け暮れしながらプロで活躍する夢を追う若者の群像撃という芝居の骨格も同じですが、脚本には変化があって、新しいエピソードが追加されたり、逆に削ったところもあり。元々は扉座の本公演用に書かれたミュージカルですが、今回はほぼマグカルオリジナル版と言っていい感じになっていて、私はマグカル向けに洗練された感じに思えました。どっちが良いという話ではなく、ひとりの女性の半生記だった扉座版と、「今」の若者の群像劇のマグカル版ではストーリーや描くエピソードが異なるということだと。公演のフライヤーには「ガチのリアルで勝負すっから」という文字が躍っていますが、もしかしたらキャストの「あるある」も織り込んでたりするのかな、なんて思ったりします(本当のことはわかりません)。こっそり時事ネタが仕込んであったりするのは扉座っぽいですが、そりゃ総指揮は扉座の横内謙介さんですものネ。あ、お色気はさすがに無かったな(^^;

 芝居はもう、若者の溢れるエネルギーのぶつかりあいといった感じが舞台に充満してました。ミュージカルですから歌もダンスもたくさん盛り込まれてますが、それにしても勢いがある。なにせ踊り出したら客席が物理的に揺れますからね(笑)。でも抑えるところは抑えて、挫折や苦悩などもしっかりと。そのあたりの緩急の見せ方も昨年より洗練されたように感じます。きっと演じているキャストもおなじように夢を追い、もがいているんだろうなと思うと、観ていて目頭が熱くなるものがありました。芝居の筋書きそのものは必ずしも皆がハッピーエンドでないけれど、希望が残る終わり方。キャストのみなさんが夢をつかめたらいいなと、しみじみ。

 アカデミー生による公演とはいえ、これだけ見応えあるミュージカルが2000円とは破格です。来年もあれば多くの方に観て頂きたいと思います。リアルな若者も、親世代もきっと共感でき楽しめると思います。

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2019年5月15日 (水)

扉座公演「新浄瑠璃 百鬼丸」を観る

 5月12日の夜は、劇団扉座の公演「新浄瑠璃 百鬼丸」を観てきました。場所は扉座のホームグラウンド的な東京の座・高円寺。こじんまりとした舞台と客席の近い劇場です。

 なぜ3日遅れで今、書いているのかというと、観てみてとってもお勧めしたいのですが、なんと東京公演は初日を迎える前に前売券が完売!毎日当日券が若干枚出ているそうですが、切符の確保がお約束できない状況ではプロモーション的に早く書く必要性がないだろうという。。。扉座でこんなことは滅多にないのですけど(^;

 この芝居は手塚治虫さんの「どろろ」が原作ということですが、私は漫画方面は全く疎くて原作を知りません。また扉座での初演は14年前、今回は10年ぶり3回目の上演だそうですが、私が扉座を見始めたのが2011年ですから、これも知らない(^^: ということで全くの新作として観ました。

 芝居は、まだおなかの中にいる子どもを親が魔物に生け贄として差し出してしまったばかりに、肉体を魔物に奪われて生まれてきた百鬼丸が、魔物を倒して奪われた肉体を取り戻していく姿を描いていきます。スペクタクル、活劇的な要素も多く盛り込みつつ、百鬼丸と、行動を共にすることになった泥棒(どろろ)との掛け合いを通じて人間の弱いところ、ずるいところなどがあぶり出されていき、いろいろと考えさせられるところも。百鬼丸の肉体は奪われていても心はピュア。そこに泥棒がだんだんと心を寄せていく様が良かったです。終盤、ピュアだった百鬼丸が肉体を取り戻したとたんに豹変してしまうのも人間の性を見たようで考えさせられましたね。かなり切ない展開になったりもしましたが、ラストは希望の見える終わり方だったのは扉座らしいなと。新浄瑠璃とあるとおり、芝居の一部では台詞に代えて浄瑠璃の語りを入れているところも私にとっては初めてで新鮮でした。全体として美しい芝居でしたね。扉座お得意のエロい要素もありますが(笑)

 美しいといえば、効果音もがまた美しかったです。舞台袖にパーカッションがあれこれ置いてあり、劇団員が交代で音を入れていくのですが、実に効果的で豪華な音づくりでした。私も音楽ではパーカッションをやるので、演技も見つつパーカッションも気になってつい目がいってしまういという、かなり忙しい観劇になりました(笑)

 冒頭で触れたとおり、お勧めしたいのですが東京公演は前売り完売・・・ただ、このあと地方巡業があるようなので、お近くに来たときには如何でしょうか。

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2018年11月18日 (日)

扉座「無謀漫遊記」ラクイブナイト

 先週、劇団扉座の「無謀漫遊記-助さん角さんの俺たちに明日はない-」の観劇記を綴りましたが、その続きを。11月10日の夜公演には終演後「ラクイブナイト」というイベントがついてました。結構前から定番になってるのですが、千秋楽の前夜に盛り上がろうというイベント。千秋楽すなわち楽日の前夜なのでラクイブというわけです。あえてこのイベントについて綴ろうと思ったのは、今回新機軸として撮影OKだったのです。SNS等で発信して欲しいという意なので、これに協力しないわけにはいかないだろうと(微笑)。もっともウチはSNSではないし千秋楽から1週間も後に綴ってどれだけの効果があるのかは微妙ですが(^^;
 今回のラクイブは、横内謙介さんの劇作家生活40年のお祝いイベントでした。

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 司会はテレビジョンでもおなじみの山中崇史さん。ラクイブの司会は山中さんと決まっているそうで、公演に出演していなくても毎回駆けつけて下さいます。右の派手な衣装は今回の中心人物を演じた創立メンバーの岡森諦さん。私が初めて観た「音楽劇・オリビアを聴きながら」での鬼上司役があまりにも迫力があって強烈な印象を残したのですが、コミカルだったり人情もろかったり豪快だったりと自由自在な役者です。

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 今回、角さん役を演じた犬飼淳治さん。口上を述べていたのかな?1週間経つと記憶が不確か(^^;

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 横内さんが客席から登場し「みちのくひとり旅」を熱唱!けっこう上手いです。

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 お練りの様は演歌歌手のようです。

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 山中さんが司会となって、横内さん、岡森さん、そしてテレビジョンでもおなじみで今回助さん役の六角精児さんという創立メンバー3人で横内さんの劇作家生活40周年と扉座の歴史を振り返るコーナー。2011年から見始めた私にとっては知らないことばかり。横内さんはすでに100作ちかい作品を書いているそうです。劇団扉座は創立時「善人会議」という名前でしたが、名前の由来について横内さんは、当時の小劇場での悪さをするのがかっこいいというような風潮が嫌だったので、その逆を行こうとしたと語ってました。で、今の名前への改名は、劇団の人気が下降気味になってきたので、パチンコ屋の新装開店に着想を得て、名前を変えてみたと(笑)。あんまり効果が無かったそうですが、逆に大きなブームにならなかったことで長く続いたのかもしれない、とのこと。なんとなく分かる気がします。劇団名について岡森さんと六角さんはあまり関心がなかったようで、「ああ、そう」という感じだったとのこと。六角さんに至っては「長くやるつもりはなかったから」ですって。

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 ここからは劇団員による余興タイム。若手の野田翔太さん(右)と白金翔太さんの“W翔太”によるショートコントというか、稽古場での横内さんのモノマネ。なんとなく雰囲気が伝わってきます(笑)

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 続いて中堅の高木トモユキさん。現在、2.5次元として話題のミュージカル「剣刀乱舞」で活躍中で、稽古場から駆けつけたとのこと。なんとネタが横内さんのモノマネで、W翔太と丸かぶり(^^;

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 ベテラン女優陣の中原美千代さん(右)と伴美奈子さん(なんとこの方が黄門様役でした)のショートコント。「次の扉座の脚本にこんなのはどうでしょう」と伴さんが話しをすると、中原さんがことごとく「それ実話ですよ」と、要するに横内さんの暴露話なのでした。客席大受け。(内容は自粛)

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 六角さんがこの日のために劇団をネタに曲を作って披露しました。パーカッションとハモニカは有馬自由さん。良いライブでした。


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 劇団を代表して岡森さんから記念品の贈呈。

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 中身はフラワーなんとか(^^;
 横内さんからは、100作目ざしてがんばるので、ぜひ劇場に来て下さいという挨拶で締め。

 本編公演も楽しかったですが、ラクイブも楽しかったです。それと、扉座初心者にとってはその歴史を知ることができて良かったです。これからも応援していきたいと思います。

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2018年11月13日 (火)

扉座公演「無謀漫遊記」を観る

 先週末の11月10日は、劇団扉座の公演「無謀漫遊記-助さん角さんの俺たちに明日はない-」の東京公演を観てきました。扉座の東京公演は座・高円寺であることが多いのですが、今回ははつか芝居の聖地とされる新宿の紀伊國屋ホール。劇場で配られたリーフレットに書かれた主宰・横内謙介さんの口上によれば「つか魂、つか様式を継承しつつも私にしか書けない今のドラマを真剣勝負で書き切りたい」と思って書き下ろした作品なのだそうです。そして、横内さんの劇作家40周年記念作品とも銘打たれています。つか芝居を直接観ていない私にはその辺の思い入れはないのですが、扉座版のつか芝居はいくつか観ていてとても面白かったので、期待は高まります。

 タイトルからわかるとおり、所謂テレビドラマ「水戸黄門」を題材にとった作品ですが、もちろんテレビのようなお行儀の良い水戸黄門であるはずもなく(爆)、ハチャメチャ、やりたい放題(褒め言葉です)の設定と筋書きに前半笑い通し。時代設定は江戸のようでいて現代でもあるというハイブリッドな芝居はいかにもつか芝居な感じです(あくまで扉座を通してしか知りませんが) 私が過去に観た扉座の芝居のなかでは「つか版忠臣蔵」のテイストに近いように感じました。
 で、抱腹絶倒で終わるかというと扉座(横内さん)はそんなことはなく、後半に泣ける筋書きが入ってきます。身分や居住地での差別や、それ故の苦労・苦悩などが段々明かされています。最後は水戸黄門ご一行が出てきて締めるのですが、ちょっと意外な締め方で、ハッピーとえばハッピーなのかもしれないけど・・・という。

 つまり、テレビの水戸黄門ば「勧善懲悪」ですが、この芝居では善と悪が単純に分かれていないのです。
主な登場グループは、地元で長年治水工事を手がけてきた業者、余所を拠点として全国展開する大手の土地開発業者、そして代官。大手の開発業者が治水工事参入を狙って代官に接近・・となればテレビ的には開発業者と代官が悪で、地元業者が善になりますね。しかし開発業者はパーティを開いて代官と接近はするものの、賄賂を渡すでもなく「入札」を提案するだけ。一般論では随意契約より入札のほうが良いシステムですから、真っ黒とも言えない。一方、地元業者は差別故のハンデを背負っているので情として肩入れしたくなりますが、親方のパワハラ・セクハラがひどいと(笑)。さてどうするか、というところがハラハラしたり面白かったり。

 今回はテレビジョンでもおなじみの六角精児さんが2年ぶりに扉座公演に出演し、助さん役で大暴れ。良いこと言いつつもちょい悪な感じが最高、その存在感は流石としか言いようがありません。普段は殺陣指導のスタッフの西村陽一さんが代官付きの堅物の侍を演じてましたが好演でした。今回は中堅が少なくベテランと若手メインの座組でしたが、若手も伸びてきていて良い芝居でした。おすすめしたいのですがすでに11日で千秋楽。。。

 終演後は「ラクイブナイト」というイベントがあったのですが、すでに文章の分量が多いのでまた改めて。

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