30年目の神戸ルミナリエ
24日から開催されている第30回神戸ルミナリエを先週末に観てきました。新型コロナ禍であった2020年度~22年度の3年間は代替行事の実施のみで実質的に中止されており、2023年度から復活したのですが観てはおらず、私としては復活後初めて観るルミナリエでした。復活後のルミナリエは大きく変わったので、この目で観ておきたい思いもありました。まず、開催時期が12月から1月に変わりました。先に「年度」で記載したのはこのことによります。そして以前の会場は、旧居留地の仲町通りと、それに続く東遊園地でしたが、仲町通りの「光の回廊」はメリケンパークに移って分散化のうえ、有料化されました。有料ゾーンの入場には日時指定の入場券が必要で、当日券が出るかどうかは前売券の売れ行き次第となっています。
私はできるだけ新型コロナ禍前に近い形での観覧をしたかったので、メリケンパークからスタート。
巨大な光の回廊が出来ていました。玄関にあたる両翼の壁も大きい。ちなみに、光の回廊の正面方向については有料ゾーンと無料ゾーンの境に黒い幕が張られていて、無料ゾーンからは回廊の上のほうしか見えません。横方向と向こう正面は遮りるものはないので普通に見ることができます。頭隠して尻隠さず、みたいな。
注目したいのは回廊の天井。これまでのルミナリエではアーチの骨組に相当するところだけに電飾がついていたものですが「屋根」に相当するところまでびっしり電飾がついています。これは初めてではないでしょうか。30年の節目ということでかなりがんばったみたいです。
有料ゾーンの入場の際に「Thank youカード」が渡されます。これを周辺の提携店に持っていくと特典が受けられるというので南京町の提携店で夕食。一品サービスを頂きました。「Thank youカード」は会場で行われている100円募金への協力でももらえます。
南京町から仲町通りを進むと途中の三井住友銀行前に看板のような電飾作品が置かれていました。そして東遊園地へ。
ここは光の壁掛け「スパッリエーナ」ですが、大きいです。圧巻。ただ、メリケンパークもそうですが、私ははしゃぐ気にはなれず、厳粛な思いで見上げていました。教会音楽のようなものも流れていますし、綺麗というより荘厳。なにより、阪神淡路大震災の犠牲者の鎮魂と街の復興を願って始まった行事です。でも、行ってみると、これじゃ言われなければわからないだろうなとも思います。
メリケンパークの一角には地震で崩れた岸壁を保存した震災メモリアルパークがあります。元町方面からルミナリエ有料ゾーンへの動線上にあり、円形の電飾「ソローネ」が置かれてはいるのですが、肝心の震災遺構は壁で隔てられているので気づく人が少ないのではと。実際、訪れる人はいますが有料ゾーンの混雑とは比べ物にならないほど少ないです。
東遊園地の一角には1.17希望の灯りがあります。ここにも小さな電飾が設置されてはいますが、人の集まるところからの誘導もなく、知っている人だけが訪れているというような状況でした。
1月17日付東京新聞朝刊には、震災の記憶や経験の継承の課題を扱った記事の中で「単なるイルミネーションと思われている」「本来の趣旨が伝わっていない」という実行委員会のコメントが載っていました。実際に現地に行ってみて、はて、実行委員会は何か努力をしているのでしょうか?と思いました。公式サイトでは趣旨の説明がありますが、もっと会場で震災関連行事であることをアピールしたり、直接的に震災関連の展示をしたりしたほうが良いのではないかと思う次第です。30年が過ぎ記憶の継承が難しくなりつつあるからこそ、冬の神戸の一大行事であるルミナリエをうまく活用してはと思います。
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