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2024年5月30日 (木)

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024を振り返る(3)

 5月3日から5日まで開催されたクラシックフェス「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」(以下LFJ2024)の振り返りのシリーズ、いよいよ最終日の5日に至ります。公演番号は公式サイトと照合ください。

◆公演346 鍵盤楽器のプロフェッショナル、そのルーツ
トッカータの世界=「バロック誕生」

 ガラス棟のホールG409というキャパの小さな会場でのチェンバロ演奏の公演です。めったに聴けない楽器なのでダメ元で先行抽選販売に応募したら運よく当選して聴くことがが出来ました。出演は世界的なチェンバロ奏者の中野振一郎さん。会場は会議室みたいなところですが、燭台を模した電灯なんかも置いてあって良い雰囲気。中野さんが17世紀へご案内しますといってコンサートがスタート。チェンバロはピアノと比べると音の小さな楽器ですが、小さな会場で間近で聴くとはっきり聞こえて良いですね。トッカータという様式が生まれてバロックへつながっていく過程を登場順に弾いていく音楽の歴史講義のようなプログラムでしたが、中野さんの解説がいちいち面白くて客席から度々笑いが。わかったのは、トッカータはテンポも調も決まっていないような自由な演奏だったのが、だんだんかっちりとしてきてバロックになっていったということ(ざっくり過ぎ・笑)。小さな部屋で観るほうも緊張するかなと思った公演でしたがとても楽しい公演でした。

◆公演315 ミチヨシ&山根VS伊福部の伝説、再び!

 なんのこっちゃというタイトルですが、井上道義さんの指揮、新日本フィルの演奏による伊福部昭さんの作品を演奏するというプログラム。LFJのファイナルコンサートなので切符を取りました。冒頭に井上さんのMCがあり、ゴジラの一節が出てきますからといってその部分だけ実際に演奏してみせ、楽しみにしてくださいと。これで客席が湧きました。そして「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏狂詩曲」をソリストの山根一仁さんとともに。確かにゴジラの一節が出てきました。次の曲「シンフォニア・タプカーラ」もそうですが、私は初見。なんですが、劇伴みたいな音楽で初めてでも聴きやすいのです。そして高揚感があって心躍る感じ。伊福部さんのことはよく知らなかったのですが、映画音楽などを多く手掛けられているそうで、納得。演奏が終わると客席大拍手。長いカーテンコールが続き、客電が点いてもなお拍手はやまず、袖にいたLFJの芸術監督ルネ・マルタン氏を引っ張り出す井上さん。その前からぽつぽつとスタンディングオベーションをする人が現れていましたが、ここで1F席は目視の範囲でオールスタンディングに。大興奮のエンディングになりました。

 井上さんは今年で引退することを表明しており、LFJで振るのはこれが最後とのことですが、まだまだやれるのではというぐらいエネルギッシュな指揮ぶりでした。日本初開催からLFJにかかわってきた井上さんのラストステージということで興奮とともに感慨深かったです。

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 ということで3日間を、ほぼ自分のために(^^;振り返りました。個人的には今年聴いたのは有料公演は4つと少なめでしたが、どれも「当たり」で満足感は高かったです。歳を重ねたせいか有料公演を詰め込まず周辺の無料公演も含めてゆったり楽しむのも良いなと思った次第です。 フェス全体の感想としては、LFJ2024はコロナ禍での中断を経て概ねコロナ禍前のスタイルを取り戻してきた感じです。まだまだ海外アーティストの出演が少なく、特にオーケストラは全て国内団体だったのはコロナ禍前との大きな違いですが、逆にこれまでLFJで聴く機会の少なかった国内オケが聴けるという点は悪くないようにも思います。経済状況の違いもありスタイルや規模が全てがコロナ禍前には戻らないのかもしれないけれど、気軽に気楽にクラシックが楽しめるフェスとして長く続いて欲しいなと思います。

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2024年5月28日 (火)

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024を振り返る(2)

 5月3日から5日まで開催されたクラシックフェス「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」(以下LFJ2024)の振り返りのシリーズを続けたいと思います。公演番号は公式サイトと照合ください・・・といいつつ、無料公演には公演番号がありません(爆)

 では中日の4日です。4日は無料公演のみでした。当日券でシエナ・ウインド・オーケストラ(公演213)を観ようと思っていたのですが、切符売り場で並んでいるときに売り切れまして。。。

◆丸ビル1Fマルキューブ(15:50~)
 東京芸術大学公演

 LFJでは東京国際フォーラムでの本公演以外にも周辺各地で無料コンサートが多数行われており、これもその1つ。マルキューブはその中でも中核といってもいい会場ですが、この日はまる一日、芸大の学生によるコンサートが組まれていました。私が観たのは声楽の公演。ソプラノからバリトンまで4声が揃っての、オペラの良いところをちょっとずつといった感じのプログラムでした。学生の公演とはいえしっかり聴きごたえありました。また歌っているときの表情が豊かで身振りなんかもあり、そういや歌劇だよねと改めて思った次第。ふだんクラシックは聴かないところへもってきてさらにオペラやオペレッタなどは縁遠いのですが、そういったものも無料で気軽に気楽に(←ここ重要)聴けるのがLFJの良いところです。ちなみに伴奏者が弾いていたピアノは河合楽器の高級機SHIGERU KAWAIでした。
Shigeru_kawai
 例年ここの会場はこのピアノですが、本公演の会場でも使ってくれないかなあ。。。個人的にはやっぱり河合と聞くと推したくなりますので(微笑)。

 

◆ホールEキオスクステージ(17:20~)
<サプライズコンサート>エリプソス四重奏団

 ホールEは本公演の有料コンサートの切符または半券を見せると入場できるエリアで、キオスクステージは無料公演ですが有料コンサート入場者のサービスプログラムという位置づけです。サプライズコンサートというのは有料公演のアーティストが出演する枠で、アーティストは当日発表というもの。エリプソス四重奏団はサックスの四重奏で、サックスだけでこんなに厚い音が出るんだというのが驚きでした。加えて、ラスト(アンコール相当?)にはなんとアカペラで4声の歌を披露。これがまた上手いんで驚き。サックスも歌もいけるなんて素敵な四重奏団です。ホールEキオスクステージは今年復活しましたが、コロナ禍前の八角形のステージを客席が取り囲むスタイルではなく、長方形のステージの前方に客席が並ぶ一般的なスタイルに変わってました。あの八角形のステージはLFJの象徴の一つであったので少々残念ではあります。

◆地上広場キオスクステージ(19:15~)
<サプライズコンサート>BLACK BOTTOM BRASS BAND

 こちらは完全無料公演。BLACK BOTTOM BRASS BANDはニューオリンズスタイルのジャズバンドで、この日の公演237の出演者でした。LFJはジャズを割と取り上げるのでちょっと興味があったのですが有料公演はキャパが小さなハコで撃沈。キオスクステージで観られてラッキーでした。夜になってからのジャズの演奏はやっぱり盛り上がりますね。途中には客席参加型の曲もあったりしてどんどん盛り上がる!ニューオリンズスタイルながらMCはめっちゃ大阪弁というギャップも楽しかったです。梅田の路上でライブを始めたのが原点だそうで、LFJでこのような野外ライブが出来て嬉しいというようなことをおっしゃってました。クラシックフェスながらクラシックだけではないのもLFJの面白いところです。

 ということで2日目を振り返ったところでこのボリューム。3日目はまた続きにします。

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2024年5月21日 (火)

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024を振り返る(1)

 閉幕からもう2週間も経っていますが(^^; やはり書いておきたいので。5月3日から5日まで開催されたクラシックフェス「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」(以下LFJ2024)を備忘録的に振り返りたいと思います。公演番号は公式サイトと照合ください。(手抜き)

 まずは初日の3日

◆地上広場キオスクステージ(16:45~)
 アエロ・エレクトロ・マトリョーシカ

 いきなり無料公演です(^^; この公演はテルミンとその派生楽器マトリョミンの演奏会。LFJ2024のテーマが「オリジン」だったので、電子楽器のオリジンとして選ばれたのでしょう。日本のテルミン演奏の第一人者である竹内正美さんが素晴らしい音色を聴かせてくれました。竹内さんは脳卒中の後遺症で右半身にまひが残ったそうですが、これだけの演奏をするにはリハビリが大変だっただろうと思います。復帰に際しては右手(通常は音階制御)と左手(通常は音量制御)の役割を入れ替えたそうで、テルミンもそのような仕様になっていました。ちなみにテルミンは私も学研「大人の科学」の付録を組み立てて持っていますが、演奏は全く様になりません(^^;

◆公演114 精密な音は愛と共に、自らのルーツへ

 これは、ラヴェルづくしのプログラムなので取りました。管弦楽の魔術師とも呼ばれるラヴェルは好きなんですよねえ、音がキラッキラで。久々に「亡き王女のためのバヴァーヌ」を聴きましたが、短い曲ながらとにかく音が美しい。続く「ピアノ協奏曲ト長調」も音が華やか。加えてピアノの萩原麻実さんも大熱演で、大拍手。最後はおなじみの「ボレロ」。同じフレーズの繰り返しながら単調にならないところがラヴェルのすごさ。終盤に向けてオケの音量がぐいぐい増していくのは気分も高揚しますね。最後はドカーンと派手に鳴って大拍手。神奈川フィルは初めて聴きましたが、良い演奏だったと思います。(しろーとの耳ですが)

◆公演126 魂柱と鞴と鞴と声帯

 妙なサブタイトルがついた公演ですが、新倉瞳さん(チェロ)と佐藤芳明さん(アコーディオン)のデュオと、チャラン・ボ・ランタン(唄とアコーディオン)の2組が出演。魂柱がチェロ、鞴(ふいご)がアコーディオン、声帯が唄を指しているというのがタイトルの意味するところだそうで。この公演は、新春シャンソンショウで私にはなじみのあるチャラン・ボ・ランタンが出演するというので取りました。今回の出演者の共通点がクレズマー音楽をルーツとしているということで、クレズマーのメドレーなどを演奏。チャラン・ボ・ランタンがついにLFJに進出ということで感慨深く聴きましたが、新倉さんのクレズマー音楽の解説含めとても楽しかったです。アンコールには「愛の賛歌」。LFJはフランス発のクラシックフェスですが、シャンソンをやったのは多分初めてでは?チャラン・ボ・ランタン唄担当のももさんは客席に降りて練り歩きまでして、大いに盛り上がりました。必ずしもクラシックの枠に当てはまらない曲も取り上げるのがLFJの面白いところです。

 初日だけでこのボリュームですので、続きはまた。

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2024年5月 6日 (月)

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024 終わる

 3日に開幕したクラシックフェス「ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024」(以下LFJ)は5日、全日程を終了しました。直前に来日キャンセルになったアーティストがいて一部プログラム変更があったほかは無事に開催できて何よりでした。会場は3日間大賑わいでした。

 今年、私が観た有料公演は4つ。例年に比べると少なめになりましたが、観た公演はどれも良かったです。そのほか、会場の東京国際フォーラム周辺で開催された無料のエリアコンサートなども観たりして、3日間音楽の生演奏を浴びてきました。天気にも恵まれて野外コンサートも気持ちよかったです。やっぱり大型連休はこれがいいですね。

 コロナ前を取り戻しつつあるLFJですが、形が変わってしまったものもあります。サービスプログラムのホールEキオスクステージは復活しましたが、八角形で全方位を観客席が取り囲むステージではなく、一般的な角形のステージの前に観客席が並ぶ形に。八角形のステージはLFJを象徴するものの1つでしたが。。。地上広場キオスクステージも昨年に続いてあずまやのしつらえがなく、普通の平面ステージに。もともと「キオスク」ですからあずまやがあるのが本来の姿ではあると思うのですが。。。運営上はこのほうが便利なのかもしれないし進化と言えなくもないのですが、LFJの象徴となるようなものがなくなっていくのは少々淋しい気がします。とはいえ、フェスが継続的に開催されることがいちばん重要ですから、楽しさに直接影響しない範囲の変化であれば受け止めるしかないかなとも思います。座って休める場所が増えたのは嬉しい変化です。
 出演アーティストは昨年に引き続き国内中心で、オーケストラもすべて国内団体でした。まだまだオケの海外渡航は難しさがあるのかな?(費用面含め・・・) 

 楽しかった3日間の公演の感想などはまた別に。。

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2024年5月 4日 (土)

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024開幕

 世界最大級のクラシックフェスとされる大型連休の風物詩「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」が3日、東京国際フォーラムで開幕しました。コロナ禍の中断を経て再開2年目。規模はコロナ禍前に比べると縮小されてはいますが、今年はガラス棟会議室での公演と、地下のホールEでのサービスプログラム(ホールEキオスクステージ)が復活!少しずつコロナ禍前の姿に戻しつつあります。
 テーマは「オリジン」。ちょっと難解ですが、いちおう口上がこちらのようになっています。まあ極端なことを言えば私のように普段クラシックコンサートに足を運ばないような方(をターゲットにしている音楽祭のはずですが・・・)はテーマなど気にせずに聴いてみたいと思った公演を聴けば楽しめます。5日までの有料公演は、比較的大きなハコのホールCや、はたまた5千人収容のホールAでも完売公演があったりしますので、聴いてみたいという方はお早目に。っていうのを開幕してから書いても意味ないですかね(^^; とはいえ地上広場キオスクステージの無料公演もありますので、チケット買ってないという方もふらっと来て楽しめると思います。子育て世代には嬉しい名物企画の「0歳からのコンサート」も健在です。

 きょうは夕方から参戦しましたが、会場は大賑わい。ああ、これがラ・フォル・ジュルネだなと思える空間です。そして聴いた公演はアツかった!5日まで、しっかり楽しみたいと思います。

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