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2021年12月14日 (火)

扉座40周年公演「ホテルカリフォルニア」を観る

 週末の12月12日は、東京・紀伊國屋ホールで劇団扉座の40周年記念公演「ホテルカリフォルニア~私戯曲 県立厚木高校物語」を観てきました。紀伊國屋ホールが入る紀伊國屋書店ビルは耐震補強の工事中で、地下の食堂街はほとんど閉鎖、書籍売り場もだいぶ狭くなっていますが、劇場は元気でした。ロビーにはお祝いの花が並び、物販にはこれから演じるキャストの皆さんが物販に出ていらして大賑わい。新型コロナ禍のなかでの扉座の公演では、終演後のロビーにキャストの皆さんがお出ましになることもなくなりましたが、キャストと観客が接しているのは久々です。

 この芝居は97年に初演ということですが、10年前から扉座を観始めた私にとっては初見。サブタイトルにもあるように主宰の横内謙介さんの高校時代のエピソードを元にした内容ということで楽しみにしていました。名前だけの厚木高校演劇部員だった横内さんが、先輩におごられて新宿紀伊國屋ホールでつかこうへい作「熱海殺人事件」を観て演劇にのめり込むというエピソードがあって、観劇をおごった先輩役として横内さんも登場。登場しただけで大拍手だったのは劇作家で舞台には登場しないからですね。とはいえ演劇部をメインにしたストーリーというわけではなく、シラケた校内で文化祭をどう盛り上げるか奮闘する生徒の姿がメイン。当時の高校の事情・世相などを背景にしてもがく高校生たちを描いていました。そんなことあるのかよみたいなネタやキャラの濃い登場人物が多数なこともあって大いに笑いましたし、ベテランと若手の織りなす熱く、ある意味で体を張った芝居に客席も沸いてました。もがく高校生のなかには残念な結末を迎える、ほろ苦い要素も。「もっと話がしたい」がキーワードですが、新型コロナ禍でコミュニケーションが希薄になったと言われる今にも結果として通じるような気がしました。

 ネット上では扉座をずっと応援し続けている人の感想が多く見られて、創立メンバーがステージに並んでいる姿に胸熱といった声をよく目にしますが、そういう要素を除いても初見で楽しめる作品です。いつもの扉座公演よりも上演時間が30分ほど長い2時間半ですが、長さを感じません。40周年で劇団員総出というにぎやかさに加え、開演前には六角精児さんのDJが場内に流れ(毎回生放送だそうです)、幕間の休憩時間にも山中崇史さんのパフォーマンスがあったりして、楽しませようという仕掛けが山盛り。これが前売り5,000円(当日5,500円)で観られるのはお値打ちです。加えて学生さんは平日に500円で観られるチケットも。平日を中心にまだ席があるそうなのでぜひどうぞ。テレビドラマでは見られないものを観ることができます。19日までです。情報は扉座のサイトで。

 

 私が観た回は、特別公演ということで横内さんが高校演劇で書いた「山椒魚だぞ」も再現上演されました。大学受験を控えてもがく高校生を描いてますが、娯楽色の強い「ホテルカリフォルニア」とは違う深遠な世界観。高校生でこんな作品を書いていたのかと驚きました。扉座40年の歴史のなかで10年しか知らない私ですが、とても記念になる観劇になりました。

 そうそう、「山椒魚だぞ」は若手劇団員と研究生が中心のキャストでしたが、「ホテルカリフォルニア」はベテラン劇団員も詰襟・セーラー服姿で高校生を演じています。映画やTVドラマではありえないことですが、なんとなくらしく見えてしまうところが演劇のマジックだと思います♪

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