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2018年7月10日 (火)

TPPと著作権

 この週末は大きなニュースが続いたためあまり注目されていませんが、地味にこんなニュースが出ています。

 TPP国内手続き完了 メキシコに次ぎ2カ国目(東京新聞2018.7.6夕刊)

 TPP(環太平洋連携協定)で求められる国内法令の改正を全て終えて手続き完了を通知したというこです。
 TPPは私たちが楽しんでいる音楽文化においても著作権法の改正という形で影響を及ぼします。簡単に言えば、欧米のスタンダードに合わせる、ということになるのでしょうか。。。米国がTPPから抜けたので米国が強硬に主張していた知的財産分野の合意は棚上げになったにもかかわらず、なぜか国内法は米国が抜ける前の合意内容で改正されました。

 身の回りで影響が大きいのはなんと言っても「著作権等侵害罪の一部非親告罪化」でしょう。従来の著作権法では、権利者からの告発がなければ罪を問われることはなかったわけです。非親告罪となると、外形的に著作権侵害が認められれば捜査立件されうるということになります。
 この動きにいち早く反応したのが同人誌界隈の方々で、つまりその界隈の方が日常的に行っている「二次創作」が捜査立件対象になる恐れがあるということで、非親告罪の適用除外の運動などを行ってきました。その成果か、非親告罪化は以下の3項目を全て満たすものを対象とする条件が付けられました。
 1.対価を得る目的または権利者の利益を害する目的があること
 2.有償著作物等について原作のまま譲渡・公衆送信(=ネットへのアップロードのことを指します)又は複製を行うものであること
 3.有償著作物等の提供・提示により得ることが見込まれる権利者の利益が不当に害されること

 なーんだ、この条件があるなら気にする必要はないじゃん、と思う方が大半でしょうね。素直に読めば海賊版のCDやDVDを販売したり、ネットで広告付きで視聴できたりするようにしたものが対象ということになります。
 ただ、条件に合致しているかどうかを決めるのは行為を行った当事者でも権利者でもなく、捜査当局です。親告罪であれば、権利者が黙認してくれるかどうかが分かれ道でしたが、3条件が付いたとはいえ非親告罪となれば権利者の意向は関係ありません。捜査当局の解釈次第と言ってもいいでしょう。だからこそ、条件が付いたとはいえ創作活動や日常の企業活動にも萎縮効果をもたらすのではないかと懸念されているわけです。

 実際には改正法の施行はTPPの発効と同時とされているので、現時点では親告罪のままです。しかし政府は手続き完了を通知したわけですから、日本としてはもう後戻りできず、他国の手続きの進捗次第ということになります。

 こうしたことは政治の場で決まります。政治に無関心でいることはできても、政治と無関係ではいられないという一例です。

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コメント

現在も著作権の一部を有する側によりネット動画は監視され、ときに多くの人たちが見て聴いて楽しめる動画が粛々と削除されています。
いろいろありますね。
ネット動画を投稿してる側としては自分のアカウントを失効させられるだけでなく、非親告罪となった暁には何時捜査の手が伸びて検察庁からの特別送達が来ても、もう何も言えないんですね。
東京都に住んでいますが、都知事のお考えにより「そこらをウロつくこと」も罰則付き条例で取り締まるとか、あちらこちら禁煙ブームに乗っての政策が取り締まり範囲の有限適用となりました。
「ウロつくこと」はマスコミ等がネタ(証拠)集めのために取材する際、もし、都にとって都合が悪ければ、その条例を持ってしてでも「排除します」という。
大体の政策はゴリ押しすれば通ってしまい、それに文句を言わないのが最近の日本人。
「決まったら仕方がないじゃないか、お上が決めたことだから、逮捕されたくないし」。
自分自身も段々疲れてきて勝手にアップしてきた報いと思い、お上の仰る通りにしようと守りの姿勢でいます。
歳とってしまいましたね。
これは、自分だけのこと、元気や意欲ある人達の音楽映像作りや編集を否定することでは有りません。意欲ある内に出来る限りの努力積むことは、たとえその道が閉ざされようと将来何か役に立つと思います。
これは自身にとっても同じと信じて生きていたいです。

投稿: シバイヌ1号 | 2018年7月13日 (金) 20:01

■シバイヌ1号さん
いらっしゃいませ。
権利者が動いて許諾していない動画の削除を進めることについては、法律で保護対象となっている権利を行使しているに過ぎないのですから、本当に許諾外のものであれば抗弁の余地がないでしょうね。ただ、権利を主張し行使するのは結構ですが、それなら私たちが適正な対価をもって利用できるようにして欲しい、すなわち過去の市販音源等ならリイシューで販売するとか、放送番組であれば再放送やアーカイブ施設での視聴、あるいはパッケージでの販売などをして欲しいと思います。著作権法でも目的に「文化的所産の公正な利用に留意しつつ」という文言が入っているのですから。

「お上が決めたことだから・・・」この考え方は民主主義の放棄だと私は思っています。法律はお上が勝手に決められません。国民の代表者たる議員で構成する国会に立法権があるのですから、間接的ではありますが私たち有権者が決めていることになります。もし私たちの代表者である議員が私たちの意思と離れた法律を制定していると感じるならば、おかしいと声を上げ、次の選挙でしかるべき審判を下す、ということをしていくのが健全な社会だと私は思います。

投稿: MARU | 2018年7月18日 (水) 00:20

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