AM・FMはボーダレス時代に
昨12月7日13時から、東京の民放AMラジオ3社がFM補完放送(愛称・ワイドFM)を開始しました。要するにAM波の放送をFM波でも放送するということです。ワイドFMは東京が初めてではなく、関東では既にIBS茨城放送が実施済みで、全国でも名古屋などでも開始されていますが、東京で始まったことで認知度が上がることと思います。
古くは朝鮮半島や中国大陸からの激しい混信に悩まされていた日本海側や沖縄などでAM波の難聴対策としてFM再送信が一部で実施されていたわけですが、いま各地で始まりつつあるワイドFMは都市型難聴対策と災害対策が目的とされています。都市型難聴対策とは、商業地や人口密集地など電子機器の発するノイズでAM波では聴取しづらくなっているところでも、FMであればクリアに聴取できるということです。災害対策は、地震などでAM波の送信所が被害を受けたときにもFM波で放送を継続するということですが、これはちょっとこじけのように感じます。というのも現状でもAMラジオ各社は予備送信所を持っているので。。。いずれにしても数年前には全くなかった話しで、2011年のアナログテレビジョンの終了で空いた周波数の活用を検討する中で出てきたもののようです。
ワイドFMは従来のFMラジオ局の放送と技術的には何ら変わったところはありませんが、上記のような経緯のため、放送周波数は旧アナログテレビジョンの1ch付近が割り当てられています。このため90MHz以上が受信できるタイプのラジオでないとワイドFMは受信できません。最近の家電量販店のラジオ売場で「ワイドFM対応」というシールが貼られている機種があったりするのはそのためです。とはいえ、ご家庭にあるラジオやラジカセで対応しているものは多いのではと思います。特にアナログ選局タイプは・・・というのも、海外ではFMが108MHzまでというところがあり、設計仕様を共通化するために国内向けでも「テレビの1~3chが聞けます」という名目で108MHzまで対応させていたケースが殆どだからです。デジタル選局だとテレビの1~3chのみをプリセットしていたり、90Mhzまでにしたりしているケースもあり、この場合はワイドFMが受信できません。慌ててて対応機を買うのではなく、まずは手持ちのラジオを確認してみるのが良いと思います。
なお、そもそもFM波はAM波に比べてエリアが狭くなりますし、送信所の位置が全く違いますので、AM波が受信できるところでもFM波が受信できるかは確認が必要です。東京の場合は在来FM局と同じ東京スカイツリーから送信されるので、在来FM局が受信できるかどうかが一つの目安になります。
これまでラジオはAM=音質が悪い=トーク中心、FM=音質が良い=音楽向きと分けて考えられていましたが、ワイドFMにより同じ土俵の上での勝負となり、まさにボーダレスの時代が来たなあと感じます。すでにIPサイマルラジオ(radiko)では短波放送も含めボーダレスが実現していたわけですが、パソコンやスマートフォンに触れない方もいらっしゃいますしね。こんな日が来ることになるとは数十年前には思いも寄らぬことでした。個人的にはFMの音質はクリアだけれど音が硬くてトークだと聴き疲れしやすいと感じるのですが、都市部でもノイズがなくステレオで聴けるのは大きなメリットで、ラジオの活性化につながれば結構なことだと思います。
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コメント
もともとAM/FMで別番組をやっているNHKはどうするんでしょうね。(既に実施中の離島などの難聴取場所を除いて)
そんなFMだけの特別放送の『RADIO 1980』今夜は石川ひとみ&太川陽介DJですので、レッツヤンでもおなじみだった、奈保子さんはじめ'80年アイドルの曲をリクエストしちゃいましょう。
www4.nhk.or.jp/radio80/#
この時期だと、「北駅のソリチュード」などいかが。
投稿: ギムリン | 2015年12月16日 (水) 18:56
■ギムリンさん
いらっしゃいませ。
NHKはいま民放AMに広がりつつあるタイプのFM補完放送はやらないようですね。AMの都市型難聴はNHK/民放変わらないと思いますが。。。
NHK-FMのRADIO 1980はノーチェックでした。別記事を起こしてますが、私は生でTHROUGH THE WINDOWを聴いてたので(^^)
投稿: MARU | 2015年12月17日 (木) 23:21