音楽劇「オリビアを聴きながら」ブログライター会見の模様と観劇のすすめ
昨年(2011年)9月に上演されて大好評だった音楽劇「オリビアを聴きながら」の再演にあたり8月6日、東京・西新宿のスタジオで作者・出演者のブログライター会見が行われ、私も参加させていただきました。それでは速報に続いて模様とその感想を綴ります。
会見場所は東京・西新宿の稽古場。作者の横内謙介さんを中心に出演者がずらっと横一線に勢ぞろい。まさに記者会見の雰囲気です。残念ながら森田役の鈴木里沙さんのみ欠席でしたが、あとはフルメンバーでした。で、会見場に通されたときに聞き覚えのある亜美さんのナンバーが聞こえてきました!柳瀬亮輔さんがギターで奏でていたのです。(でもメモらなかったので曲名が思い出せない・・・不覚)
嬉しいサプライズのあと、司会者の進行によりまずは出演者の挨拶から。「再演が決まって嬉しい」というようなコメントが続々と寄せられ、来場者だけでなく出演者にも愛されている作品なんだなあということが伝わってきました。初演の幕が開く前から出演者には再演を望む声があったことまで披露されたので、単なる社交辞令ではないことは明らかです。
作者の横内さんからは、昨年は3.11の震災を受けて気分が変わり歯ごたえのある物語にしたというエピソードを紹介しつつ、ふつう時事ネタは1年経つと古くなってしまうものだが、むしろ今こそ見てもらいたい作品であると思うと挨拶。確かに、今の状況を考えるとそのとおりだと私も思います。
このあと質問タイム。
自分の役で伝えたい、大切にしたいシーンはという質問には、当然ながら各人各様の答えが返ってきたのですが、初演を見ている私としては特に推したいポイントが2つ。
「主人公とその仲間の友情」
「組織との絡みでふだんは奥にしまっている本音が出るところ」
この音楽劇はタイトルこそ甘いラブストーリーを想起させますが、核心部分は組織人の苦しさとか、本音と違うことをしなければならない苦悩にあります。舘形比呂一さんは「女性だけでなく大人の男性に見てもらいたい作品」と語っていましたが、まさにそのとおり。
「オリビアを聴きながら」は出演者の皆さんにとってどんな曲ですかという質問は答えにくかったみたい(笑)。プライベートのことや役に重ねての感想が続きましたが、「歌詞がおしゃれ」と答えた伴美奈子さんに「でもジャスミンティーでは眠くならないんだよ~、テレビでやってた」と突っ込みを入れた高橋麻理さんには爆笑。はい、それは亜美さんも分かってます(笑)。まあ亜美ファン目線でフォローさせていただくなら、歌なんてそんなものです!小椋佳さんの作品「シクラメンのかほり」だって、本来はシクラメンには香りはないのですから。(今は歌のヒットを受けて品種改良が進み香る種類もあるようですが)
再演にあたってキャスティングが2人変更になりますが、それも含めて初演と何が変わり、何が変わらないのかが初演を見た身には気になるところ。これに関して横内さんは「新たな世界観・局面が生まれるかも知れない」「ストーリーは変えないが芝居のやり方を変える。今の雰囲気で違うなと思うところを変える」「初演である程度の到達点が分かったので、今年は人間関係とか裏側がにじみ出るようにしたい」とのこと。また、劇中歌の差替をしたことが音楽監督を務める尾崎亜美さんの公式ブログ(7月19日及び8月1日)で明らかになっていますが、これについて横内さんは「気持ちの盛り上がりのシーンがあって、その盛り上がりをより汲み取るよう亜美さんに相談して編曲や尺を変えた。たぶん見ていて気づかないレベルだと思う。よっぽどマニアックに見ないと。」とのこと。うーん、ファンとしてはマニアックに見て気づきたいところですが、初演の記憶は細かいところが既に飛んでいるので、これは分からないかな。。。初演のDVDを買って復習しようかしら(笑)
今回の会見に参加して思ったのは、横内さんの人望の強さと人脈の広さ。「横内さんの演出を受けられて嬉しい」という声のなんと多かったことか。再演では花柳流家元の日本舞踊家(花柳輔蔵さん)まで出演しちゃうのです。
そして、キャストの変更でどうなるか注目していた青沼役の石井愃一さん、ナイスです!主人公と対立する上司役で、いわば敵役。初演で演じた岡森諦さんの迫力が物語の要だと思ってましたが、アプローチは少々違うものの会見中のふてぶてしそうな見た目に、これはハマったなと思いました。役作りとしては「ただの敵役にならないようにしたい。青沼には青沼の理論がある。全員とは言わないが、1~2割の人に「おれもそう思うよ」と思ってもらえるものを目指したい」とのこと。本番でどんな青沼を見せてくれるのか、期待大です!
あ、見た目はふてぶてしいですが話すととっても面白い方です。会見場を大いに湧かせてました。
面白いといえば高橋麻理さん。受け答えがお茶目で、ちょっと亜美さんと同類のものを感じるところがあり私の中で好感度急上昇!役では痛いほど純真で正直な女性ですが、素顔はこんなに愉快だったとは。
会見終了前には出演者で物語終盤に歌われる「VOICE」の生歌を披露していただき、これもサプライズでした。初演のシーンがほのかに浮かびます。(一年経ってるのでくっきりとはいかず・笑)
その後、個別に横内さんに取材。というのも初演で芝居と歌があまりに綺麗にシンクロしていて素晴らしかったので、どうやって物語を作ったのか気になっていたのです。楽曲ありきでストーリーを作ったのか、ストーリーが先にあって楽曲を後から当てはめたのか。。。これに対しては明快に「同時です」との答えが。なるほど!「ただ、『風のライオン』という曲があって、これは男が立ち向かってゆく曲なのでインスパイアされた面もある。」とのこと。ふむふむ。
こういう企画への参加は初めてで、しかも演劇の会見なのに音楽ファンが潜入するという環境でしたが楽しい時間を過ごさせていただきました。扉座の皆さんありがとうございました。
会見終了後の集合写真
1列目左から:建守良子、高橋麻理、横内謙介、石井愃一、小牧祥子、伴美奈子
2列目左から:舘形比呂一、三木眞一郎、柳瀬大輔、花柳輔蔵
3列目左から:安部慎二郎、柳瀬亮輔、安達雄二、松本亮
で、伝えたいことがありすぎてブログに載りきりませんので、特設サイトを立ち上げました。
お勧めのポイントや出演者の役どころ、会見の一問一答などを掲載していますので、観劇検討の参考にしていただければ幸いです。
主演の三木眞一郎さんも「初演を見た方も、初めて見る方にも、見て良かったと思えるようがんばります」とコメントしていますので大いに楽しみです。どうですか、お客さん。
*音楽劇「オリビアを聴きながら」公演概要*
CAST
三木眞一郎 舘形比呂一 小牧祥子/
柳瀬大輔 柳瀬亮輔 花柳輔蔵/
伴美奈子 高橋麻理 鈴木里沙 安達雄二 松本亮/
建守良子 阿部慎二郎/
石井愃一
STAFF
作・演出○横内謙介
音楽監督・編曲○尾崎亜美
振付○ラッキィ池田/彩木エリ
歌唱指導○黒瀬千鶴子
青山円形劇場
2012年8月22日(水)~31日(金) 14回公演
料金
前売券 6000円/当日券 6500円
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コメント
こんにちは。
ブログライター会見って、素晴らしい企画ですね!
今の流行でしょうか。
あれこれAmiiチェックしてみたいと思います♪
投稿: T2U音楽研究所/臼井孝 | 2012年8月14日 (火) 22:22
■臼井さん
いらっしゃいませ。いつもありがとうございます。
ブログライター会見というのが流行っているのかどうかは私も良くわからないのですが、劇団扉座では時々開催しているようです。
ファンを巻き込んでのプロモーションというのは面白いですよね。
この劇のストーリーは日頃「現実の壁」と闘い続けている臼井さんも共感できること請け合いです。ぜひ劇場へ(微笑)
投稿: MARU | 2012年8月14日 (火) 23:10