京都市電の残り香を求めて 2
京都市電全廃30年から始まる京都市電シリーズもついに4回目。すいませんあと1回お付き合いください。前回は京都市電の遺構をたどる粗雑なレポートでしたが、保存車両も見てきましたので紹介します。
左京区浄土寺。もう少し東へいくと観光客にもおなじみの疏水分線に沿った哲学の道があり、観光シーズンは多くの散策客でにぎわいますが、このあたりは落ち着いた住宅街です。
その住宅街、もと電車道の白川通からちょっと外れた生活道路を進んでいくと、白茶と緑に塗り分けられたそれは唐突に顔を覗かせます。
そして現れたのは、2両の京都市電。1800型と2600型です。住宅街のなかでこれを見るとなかなかインパクトありますね~。ただ車両を置いているだけではなくて、レールはもちろん安全地帯(停留場)と架線まで設置されていて、いまにも走り出しそうな勢いです。車両も雨ざらしの割りには綺麗に保たれていてます。ちゃんと手をかけているのでしょう。なお、敷地内には入れません。
そして特筆すべきは、これが公的機関ではなく、京都コンピュータ学院という民間の保存車であるということ。何故にコンピュータと市電?と思いますが、創立者の強い想いがあったようです。そのあたりも含めてホームページで情報が発信されています。
京都コンピュータ学院 京都 市電物語
京都市電保存の意義
こちらはサイドビュー。車両の広告枠にはご丁寧に京都コンピュータ学院のものがはめ込まれてます。芸が細かいわ(^^)
ちなみに手前側の2600型電車は京都市電の中でもエポックメイキング的な車両です。そもそもは太平洋戦争前に600型として登場し、流線形の車体とモダンな緑の塗色で、その後の京都市電のスタイルを決定付けています。さらに1964年、ラッシュ時は車掌乗務の連結運転、データイムは単車ワンマンカーという欲張りな仕様に改造され、同じコンセプトで新製された2000型とともに活躍しています。
これはオマケの写真。塀の掲示板に京都ヒューマンフェスタ2008の告知ポスターが貼ってありました。11月9日には京都会館で尾崎亜美さんのコンサートがあります。無料ですのでお近くのかたはぜひどうぞ。
さて、民間でここまでやってるのに対して京都市交通局はどうかというと・・・。梅小路公園では北野線の車両が京都電気鉄道時代の姿に復元され、土休日に短い区間ですが実際に運転されていますが、そのほかにも歴代の主だった車両を保管しているそうなのです。これらについても名古屋や仙台のように常設の展示館ができたらいいなあと思います。日本初の電車の栄冠は京都にあるのですから。。
実は廃止30周年で何か動きがないか期待していたのですが、車両公開もないし記念切符の類もなし。市バスが開業80周年ということで、そちらのほうはカードとか出てるんですけどね。。
さて、そんなわけで夜行日帰りでしたがいろいろ見て回りました。他に京都市電を感じさせるものというと、市バス車庫になった錦林車庫・九条車庫なんてものもありますが、実は京都の道路そのものが市電の遺産というべきでしょう。京都中心部の主要街路は市電とセットで拡幅されたり新設されたりしたのです。つまり今の街を形作ったのは市電とも言えるわけで、その功績は評価されてしかるべきでしょう。道路拡幅と市電がセットになったのは、道路の費用を市電の収益でまかなおうということだったそうです。ほどんどの公共交通が赤字の現代では考えられない発想ですね(苦笑)
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交通局には動きがありませんでしたが、代わりに京都新聞社が30年前の書籍を復刻しました。
私も関東における鉄道図書の聖地(笑)である神田神保町の書泉グランデで入手しました。全廃1年前から京都新聞に連載された記事をもとに再構築しアルバムを加えた一冊で、当時私も図書館にあったものを読んだことがあるので懐かしかったです。私の京都市電に関するウンチクはこの本の記憶が元でして・・・。
活字を組みなおしたのではなく誌面をスキャンして制作されたようで、ページの一部にかすれ気味なところがあったりしますが、それでも大満足です。
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