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2006年9月 9日 (土)

民間放送というレトリック

 きょう9月9日放送の「永六輔の土曜ワイド」(TBSラジオ)を聞いていたら、久米宏さんがゲスト出演してました。久米さんといえばかつてその土曜ワイドを担当していた時代があるわけで、ひさびさに「戻ってきた」という感じでしょうか。

 さて、永さんとの話を聞いていて、うーん、それはどうなの、と思ったことが。永さんはもっぱらTBSラジオのみの出演で、他のラジオ局から出演依頼があっても「TBSに出てますので」といって断ってしまうのだとか。これに対して久米さんは「民放みな仲間」みたいな感覚があって民放ならどこでも出ると言い、その理由を「民放はみな戦後になってできたでしょ。だから戦争中の大本営発表をやってない。僕のなかでは(NHKと)違うんですよ」と説明してました。

 久米さんの話、さらっと聞くとそれらしく聞こえるのですが、さて本質を突いているといえるのでしょうか。確かに民間放送は戦後になって誕生してます。しかし、その民間放送の大部分は、各地の新聞社を母体に設立されているのです。
(東京の文化放送やニッポン放送など、例外的に新聞社母体でないものもある)
その新聞社は戦争中、さんざん大本営発表をやっていたのですから、民間放送が手垢にまみれてないとは言い切れないと、私は思います。

 さらに、民間放送という表現からは、その対語として国営放送が想起され、よくNHKのことを(某国営放送)などという人もいますが、そもそも日本の放送史上、国営放送は一度たりとも存在していません。
 戦前の日本放送協会だって社団法人であり、資本も人材も民間で構成されていたのです。ただ、当時の政府方針として、ラジオは公益性が高く商売の対象とするにはなじまないとの考え方により、免許は公益法人に限っていたことから株式会社(営利企業)による経営にならなかっただけのことです。
 もちろん、放送協会は当初から国(逓信省)の監督下に置かれていたし、戦争中は陸海軍の検閲があったのは事実です。しかし、戦争中の検閲は通信社も新聞社も同じことで、先にも触れたとおり放送協会だけが政府主張を垂れ流していたわけではありません。

 戦後、放送協会は民間の任意団体から放送法を根拠とした特殊法人に改組し、公正中立を旨とした公共放送として再出発していす。公共性という観点から予算の承認等で国会が関与していますが、国営ではありません。

 長々書き連ねてしまったのですが、要は民放、民放といってことさらにNHKとの違いを強調するのは、私の認識では合わないのです。それが、久米さんの話を聞いていて違和感を感じた理由です。

 別に私はNHKびいきでも関係者でもありませんが、これは放送の歴史認識にかかわることですからちょっと触れてみました。民間放送については他にも思うところがあるので、また日を改めて綴ってみたいと思います。

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コメント

 英国のBBCの例とかもありますからねえ。民間主導ならば大丈夫なのかというとスポンサーの意向で歪むことはしばしばあるわけだし。だいたい民放といっても、各社でかなりスタンスやカラーや覚悟が違うような気もします。
 民放v.s.公営、という区分で語るのはちょぉっと乱暴な気はしますわね。まあもともと久米さん、さほど深くモノゴト考えてしゃべるタイプじゃないような気もするんだよな。単なる思い込みなんじゃないかという気もする。単なる思い込みを垂れ流されても困るわけだが(しかしその久米さんにしても、古館よりは百倍マシだったんだよなあ。ためいき出ちゃうけど)。

投稿: 猫が好き♪ | 2006年9月27日 (水) 02:00

■猫が好き♪さん
うーん、私は件のニュース番組は殆ど見たことが無いのでコメントが難しいですねえ(^^;
私の中の久米さんの印象は、やはりラジオの土曜ワイドとテレビのぴったしカンカン、ザ・ベストテンなんですよね。あ、TVスクランブルは多少見てたかなあ。そんなわけで、9月からラジオで番組を持つそうですが、軽妙な語り口を期待しています。
おっしゃるように一口に民放といってもスタンスが違うわけですが、多分にバックの新聞社の影響を受けているのだと思います。新聞は(法的には)不偏不党を求められてませんからね。

投稿: MARU | 2006年9月27日 (水) 23:56

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