自動車版ATSはまだか・・・
警察庁が、走行中のクルマのスピードを測定し、制限速度をオーバーしているクルマには信号を送って警告するシステムの導入を決めたそうです。まずは東京都内の幹線道路でモデル事業を始め、効果をみて全国へ普及させる計画とのこと。(8月24日新聞報道による)
快く思わないドライバーは多いかもしれませんね。しかし私にしてみれば「ようやくクルマもそこまで来たか」という印象です。
鉄道では、死傷事故が起こるたびにATS(自動列車停止装置)の整備状況が問われます。最近では05年4月に起きた福知山線列車脱線転覆事故で、速度オーバーで自動ブレーキを掛ける速度照査式ATSが現場に整備されていなかったことが問題とされ、運転再開にあたり急遽整備したのは記憶に新しいところです。それだけ信頼性を求められ、安全に対する期待が大きいということなのでしょう。
ところがです。クルマは毎日のように死傷事故が発生し毎年1万人から7千人も犠牲になっているにもかかわらず、これまでドライバーの運転ミスや標識無視をサポートする装置など皆無だったわけですよ。その意味で、警察庁の導入システムは、まずは第一歩ということで注目に値します。
ただ、このシステムの導入効果はおそらく、限定的なものに止まるでしょう。それは歴史が証明しています。
旧国鉄において最初に導入した安全システムは、1954年に国電区間から導入が始まった車内警報装置でした。停止信号を示している信号機に接近すると運転台の警報が鳴る仕掛けでしたが、結果として追突事故は根絶できませんでした。そして1962年、死者160名の大惨事となった「三河島事故」が起こるに至って、警報だけでは不十分で自動的にブレーキを掛ける必要があるという認識が高まり、ATSの導入へと進んでいったのです。
今回の警察庁のシステムも警報だけです。まして「流れに乗る」ことを絶対視し法定速度なんか二の次というドライバーが大半である現状では効果の程も知れているというものです。警報が出たってブレーキ踏まなきゃスピードは落ちません。本気でシステムによる事故減少を目指すなら、引き続き自動的なブレーキ制御や交通信号機との連動を研究してもらいたいものです。
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