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2004年11月 8日 (月)

未来行きの超特急

 11月3日にテレビ東京系で放送されたドラマ「新幹線をつくった男たち」をご覧になった方、いらっしゃるでしょうか。わたくし、実は原作本を持っておりまして、ドラマ化されるということで楽しみにしていたのですが、ようやく録画しておいたものを見ることができました。

 いやあ、なかなかいい出来でしたねえ。約2時間という長さに収めるために「新幹線構想前史」に相当する部分をはじめ結構はしょっている部分はありますが、決して不自然ではなく良くまとめられていたと思います。鉄道斜陽論渦巻く時代に、いかにして新幹線プロジェクトを立ち上げ、作り上げていったか、そしてどんな思いで技術者が夢を実現していったかは、これを見ればほぼ分かります。

 このお話はノンフィクションで、時代背景とか政治情勢とかと密接に絡んで進行するので、下手をするとナレーションで逐一説明となりかねないんですが、原作にはない新聞記者を登場させることで上手く解決していました。記者に狂言回しの役をさせているんですね。それと、鉄道に詳しくない一般視聴者にも分かりやすいような配慮もなされていましたが、この結果妙なセリフが発生。新幹線のテスト線と試作車両が完成し、いよいよ試験走行という場面で、全国から選抜された在来線の運転士に対し主任が新幹線の運転台を説明するのですが
 『これが主幹制御器で車でいえばアクセル・・・』
おいおい、現役の運転士なら車に例えなくても主幹制御器だけでわかるって・・。でもこれは視聴者への説明なんですよね。
 主役の島技師長(松本幸四郎)があまりにもかっこよく描かれているのでは、という感想をお持ちのかたもいらっしゃるかもしれませんが、原作を読むとあんな感じだと思います。非常に都会的でスマートで、鉄道屋ながら外車を乗り回したりと洒脱な方だったようです。
 ドラマ化に際して原作にあった興味深いエピソードがいくつか落ちてしまったのは少し残念。十河国鉄総裁(三國連太郎)の就任挨拶は「これが最後のご奉公と思い線路を枕に討ち死にする覚悟で・・・」とやって、新聞が食いついたたそうですが、ドラマでは単に「これが最後のご奉公」でした。また、着工式の鍬入れで、十河総裁があまりにも力を入れて振り下ろしたものだから鍬の先が外れて転がっていったという話も再現されず・・・。
 そして、これは入れて欲しかったなあと思ったのは三河島事故にまつわる話。新幹線の建設が進むなか発生した三河島事故は死者160人を出した列車脱線・衝突事故で、このとき十河総裁は遺族の家を1軒1軒回って謝罪したそうです。そして引責辞任すべしという声が国鉄内部で出たものの(十河氏自身が紫雲丸事故で引責辞任した前総裁の後任)、遺族会も世論も続投を支持、政府高官も擁護にまわって辞任を免れたといういきさつがあります。このエピソードがあるからこそ、後に新幹線完成を目前にして、予算大幅超過を暴露した怪文書の紙切れ一枚で総裁職を去った(任期満了・再任せず)ところにドラマを感じるのですが、どんなもんでしょう。

 ドラマの出来もさることながら、大物俳優を揃えたキャスティングや本物の車両を使っての走行撮影など豪華な作りでしたねえ。さすが開局40周年記念と銘打つだけあって力が入っています。逆に言えばテレビ東京らしくない(笑)
芸術祭に参加とのことですから、その結果も楽しみです。

 ところで今日の記事のタイトルは、原作「新幹線を作った男」が単行本になる前、小学館「ラピタ」に連載されていたときのタイトルを拝借しました。

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いくつかのブログで視聴記が出ています。
 兵庫の日記 さん
 ちんたら日記 さん
 あしたドラマにあ~~な さん
 まったり・気まぐれ日常記 さん

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多くの方が触れているようです。


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