アナログオーディオの極み
用語集についてはお便りを頂いたりトラックバックを頂いたりとありがとうございました。思わぬ反響でちょっと驚いています。「ひよこぶた」についてはいずれ組み込みますので・・・
さて、先日所用で北陸へ行った時のこと。「金沢蓄音機館」というところに寄ったのですが実に貴重な体験をすることができました。
ここには数多くの蓄音機やSPレコードが陳列されているのですが、ただ飾っているだけではなく、1日3回、実際にSPレコードを様々なタイプの蓄音機でかけてくれて「聴き比べ」が楽しめるのです。
私が訪れたときは、実演が始まるとき私一人だけというシチュエーション。実演兼解説の方と1対1になってしまってこれはかえって気楽に聴けないなあ、なんて思っていたのですが・・・。
「では、こちらへ来てこのハンドルを20回、回してください」「針を持ち上げて右に動かすとレコードが回りだしますのでレコードの一番外側の溝に落としてください」・・・なんと生れて初めて実際に蓄音機の再生操作を体験できてしまいました。そうして流れてきた曲は「蘇州夜曲」・・・渡辺はま子さんと霧島昇さんの歌唱です。
実際に蓄音機の音を聴いてみて驚いたのが、とても音量が豊かなこと。数ワットのアンプで聴いているのと同じくらいの音量です。蓄音機は電気を全く使いません。レコードの溝を針がトレースして振動板を揺らし、そこで発生した音波をラッパで放射しているだけなのです。それなのにこれほど大きな音が出るとは・・・。最先端のデジタル技術もたいしたもんだとは思いますが、メカニカルでここまで出来てしまうことのほうが、そして先人がそれを実現していたことがむしろすごいことに思えてきます。
約1時間かけて、全部で9台の蓄音機の聴き比べを体験できたのですが、音質も様々で金属製ラッパはキンキンな感じ、木製ラッパはぬくもりのある感じと、素材の見た目に近い?音が出るのも面白かったですね。
もちろん蓄音機とSPレコードの音質は、お世辞にも「良い」とはいえません。なんといっても周波数帯域が狭いですし、シャアシャアという針ノイズも盛大に出ます。でも独特の「味」があって、これはこれで良いと思えてくるのは不思議です。ちなみに解説員のかたはこんなことをおっしゃってました。
「蓄音機は実際に聞こえる音しか記録しません。今のCDなんかはとても音域が広くて、それはそれで素晴らしいのですが、要らない音は削り、聞こえないような音を追加しています。あんな音を実際のホールで聞くことはできません。」
確かに、コンサートなんかでバックノイズが皆無ということは無いですし、伴奏(演奏)も細かい音までは聞こえないでしょうね。私たちが聴いているCDというのは「ありえない音」を聴いているのかもしれません。なんか妙に納得してしまったのでした。
ところで、聴き比べで最初に流れた「蘇州夜曲」、解説のかたが「Jupiterがヒットした平原綾香さんがカバーしています」と雑誌の紹介記事を手にしておっしゃったのでこれまたびっくり。後で調べたらJupiterのC/Wなんですね。Jepiterといえば河合奈保子さんが自作期にお世話になった吉元由美さんが作詞ということで、おお接点があるなあなんて思ったのですが・・・よく考えたら奈保子さんも歌ってるんですよね(Jewel Box2収録)。
で、新星堂のサイトで平原版「蘇州夜曲」を試聴してみたのですが・・・。うーん、私は奈保子さんのテイクの方が好みだなあ。やっぱりあの曲は朗々とした歌い方が合っているような(^^;
■平原綾香さんの蘇州夜曲の試聴はこちら
(新星堂)
http://www.shinseido.co.jp/cgi-bin/WebObjects/Catalog.woa/wa/detail?r=MUCD-5046
■河合奈保子さんの蘇州夜曲の試聴はこちら
(コロムビア)
http://columbia.jp/~kawai/CD_BOX2.html#04
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